3D音響システムとスピーカ・アレイ

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.41
音響,AV サウンドコラム
NC曲線と騒音計 音響測定 image コネクタ、配線と測定器 音響測定 image 無響室 スピーカユニット特性測定 image マイク、ミキサー、A/D変換 インパルス応答 image 音圧分布、ホールのワイヤーフレーム 音響測定 image

音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
音とオーディオの四方山

3D音響システムとスピーカ・アレイ

Iosono(アイオソノ)とサラウンド
41

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

Iosono(アイオソノ)

Iosono(アイオソノ)というスピーカ・アレイを使った3D音響システムの記事がHotwired Japanに掲載されていました。 『MP3生みの親が作り出した新しい3D音響システム』というタイトルの引きはうまいですね。

  ▼『MP3生みの親が作り出した新しい3D音響システム』
    Hotwired Japan テクノロジ News 2004年7月29日
    http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040729301.html  

アイオソノの記事を見ると多数のスピーカ(300本)を使って仮想音源の位置をシミュレーションする技術のひとつで、技術的に新規性があるというものではないようです。 新規性があるとするとタブレットとMP4音源、PCを使って音源のコントロール(定位)をしているところかもしれません。

立体音響とサラウンド / バーチャルサラウンド
ダミーヘッド image

立体音響には大別すると「リスナーが体験した音を再現する」発想の技術と「仮想の音源を作ることで音場を再現する」ものがあります。

前者は、ダミーヘッド録音やヘッドホン・サラウンド、2スピーカでのサラウンドなどに見られるリスニング・ポイントの両耳の音を再現するものでコンシューマ製品もあります。

ヘッドホンでサラウンド再生する製品などはリスナー側でのアプローチです。

一方、音源を作るタイプは、リスニング・ルームで音源からの音波を再現したり、仮想の点音源が存在するかのように複数のスピーカを使ってシミュレーションするのがポピュラーです。

スピーカ・アレイを使ったシミュレーション

複数のスピーカを並べたスピーカ・アレイを使った音源シミュレーションは、記事のアイオソノ以外でもいくつか発表されています。 スピーカ・アレイを使った技術の中には、無指向性の点音源スピーカを実現するためのものがありますが、これは立体音響とは別の目的を持ったものです。

  ▼ご参考:平面方向ですがスピーカアレイでの音源(焦点)を作る
    イメージが判りやすいです。
    『分散マイク・スピーカーによる音の多焦点同時形成』
    独立行政法人 産業技術総合研究所
    http://www.dh.aist.go.jp/research/sasaeru/soundspot/speaker_mic.htm

  • スピーカ・アレイは立体音響に限って利用される技術ではありません。多数のスピーカを利用する一般的な名称です。
AVアンプのサラウンド

一般のAVアンプに搭載されている仮想音源シミュレーションによるサラウンドの技術は、リアスピーカなど複数のスピーカを利用しているものがありますが、どちらかというと前者のリスナータイプの技術であること普通かと思います(全てとは断言できません)

dolby/dts サラウンド7.1chのスピーカ配置
dolby/dts サラウンド
7.1chのスピーカ配置の例


SDDS サラウンド7.1chのスピーカ配置
SDDS サラウンド7.1chの
スピーカ配置の例

現在のAVサラウンド・システム(5.1ch,7.1ch)を立体音響として考えた時、物理的に決定的不足している要因は上下方向の音源です。

上にも下にもスピーカはありませんから、通常の定位ミックスで音場を再現することはできません。

また、スピーカ・アレイ方式と異なり、水平方向にのみ音を出している5.1chの場合リスニング・ポイントでのシミュレーションをするしか物理的な方法がありませんから、DSPなどで音場シミュレーションをする機能は、リスニング・ポイントでの技術を採用することになります。

上下方向のサラウンド

映画ソフトでの再生では、上下方向に関しては、映像と音響効果による演出で臨場感を持たせるという工夫がされているだけで、実際には上下方向のリアルな音場演出はできません。

これは劇場のサラウンドであっても、上下方向のチャンネルはありませんから大差ありません。

真上からヘリコプターが降下してくるとか頭上を飛行機が低空で通過するというシーンを音で演出することはできませんが、ヘリの音を全周から流した後、カメラをロングショットに変えて降下している様子を写し、再び着地付近のカットに切り替えるような演出にすることで、音が上から下に降下してこなくても問題ないシーンになります。

逆にいうと、上下の定位が可能であれば、上下方向の音場も考慮され、演出が変わるかもしれません。

劇場のサラウンドの拡張とコンシューマー

アイオソノの記事では「コンシューマー製品に……」などと記載されていましたが、上下方向については、このようなソフトの事情が変わらない限り生かせませんから、採用されるとすると仮想的にルーム・サイズを超えた、部屋の外に広くスピーカを配置したような利用方法なのかもしれません。

次の劇場用サラウンド方式では上下方向とスピーカ数の増加が検討されているようですし、スピーカは沢山使って臨場感を増す方向を見ていることは間違いないでしょう。

サウンドコラム 音響とオーディオの四方山

音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記

「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

サウンドコラム 音とオーディオの四方山

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50

50コーデックキラー
音声圧縮エンコードとノイズ
49自衛隊の大砲を使ったコンサート
チャイコフスキー序曲「1812年」
48デジタルアンプとデジタルスピーカ 6
デジタルスピーカの特徴 2
47デジタルアンプとデジタルスピーカ 5
デジタルスピーカの特徴 1
46デジタルアンプとデジタルスピーカ 4
特徴 3 - 効率、発熱、クロスオーバー
45デジタルアンプとデジタルスピーカ 3
特徴 2 - パワーアンプと伝送
44デジタルアンプとデジタルスピーカ 2
デジタルアンプの特徴 1 - シンプルな構成
43デジタルアンプとデジタルスピーカ 1
D級アンプと消費電力
42プレーヤーとメディアのハイブリッド化
BD / HD DVD / DualDisk
413D音響システムとスピーカ・アレイ
Iosono(アイオソノ)とサラウンド

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.31〜40

40音効とCGスペクタクル映画
映画の音響効果とリアリティ
39開発者の音作りと発想
デジタルの音作りと哲学
38海の音響技術 後編
海洋音響トモグラフィー/深層海流の計測
37海の音響技術 中編
音響チャンネル(SOFAR) 音響哨戒網
36海の音響技術 前編
海洋の音響技術ソナーと低周波ソナー
35チェンバロにタンチョウヅルの羽根
サウンドコラム 35
34VoiceXML 2.0勧告案公開
サウンドコラム 34
33騒音性難聴の防止薬品
サウンドコラム 33
32闇と静寂
サウンドコラム 32
31Inter BEE 2003 とHD放送
SD、HD、テレビ解像度

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.21〜30

音響冷却方式と水冷式 / 魔法の杖と音声認識の確率(自動音場調整AVアンプのレビュー) / 過去と周期と予想 / 音の記憶 / 録音テープの「肉声」 / 米国のCD市場の変化とCCCD / 音質?デザイン? / 機械の音のリアクション / 3D音響のトラッキング付き配信(ヘッドホンの立体音響, ヘッドトラッキング) / 地上デジタルTV 開始とInter BEE

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20

CDを再生できないCDプレーヤー CCCD(Copy Control CD) / 音質は確実に落ちている? / 手軽に音響測定 / アカデミー音響賞、音響効果賞 / デジタルTVの双方向性 / テクノロジーと本質の視点( デジタル・オーディオは高音質か? ) / PCMはCDと同じ? / デジタルアンプの時代( デジタルアンプのコンシューマ化 ) / オーディオ機器への音楽配信 / 家庭の音場補正

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10

デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」

サウンドコラム 音響関連イメージ

サウンドコラム 音響測定編

音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性

「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。

サウンドコラム 音響測定編

サウンドコラム 音響測定編 音圧分布

音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ

サウンドコラム 音響測定編 周波数特性

周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生

≪ サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山 ≫

Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

《 3D音響システムとスピーカ・アレイ / Iosono(アイオソノ)とサラウンド : サウンドコラム 41 》

株式会社エーアールアイ/ARI CO.,LTD.
東京都八王子市横山町6丁目9番 丸多屋ビル8F
tel:042-656-2771 fax:042-656-2654

ARIはアナログ、デジタル音響機器の ハードウェア開発ソフトウェア開発、 製品、受託開発を行なっています。試作、研究開発や特注機器などのソフト、ハード、システムの設計から製造までご相談いただけます。

エーアールアイ会社情報
製品情報と販売
音響と開発・サービス
音響機器メーカーと代理店

ご利用案内 | 免責事項 | 音響とAVのサイトマップ | 株式会社エーアールアイ | 東京都八王子市横山町6丁目9番 丸多屋ビル8F

Copyright(c) 2001-2024 ARI Co.,Ltd. all rights reserved.