海の音響技術 中編 / SOFARとSOSUS

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.37
音響,AV サウンドコラム
海洋 : 魚群 海洋 : 魚群 海洋生物 : イルカ 海洋

音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
音とオーディオの四方山

音響チャンネル/ 音響哨戒網

海の音響技術 中編 SOFAR / SOSUS
37

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

海洋 - 潜水イメージ

前回は、海の音響に関してソナーの話題と問題となっている低周波ソナーについてでした。

前回でも触れましたように、低周波ソナーは海洋生物に対する影響から問題とされているわけですが、海洋の水温の分布などの測定にも利用される場合があります。

海中の音速と周波数

水中での音速が空気中より高速であることは前回も述べましたが、海中では、電波や光が短距離で減衰しますが、音波は減衰量が少ないという性質があります。特に、低周波は、拡散や減衰が少なく、長距離を伝達する性質があります。

音は空気中と同様、水中でも温度や圧力によって音速が変化します(海水の場合にはさらに塩分濃度などによる影響もあります)

海洋イメージ
音響チャンネル - SOFAR

音速が変化することによって進行方向が屈折するため、上層に向かうと温度上昇によって屈折し、深部に向かうと圧力によって屈折するため、ある幅の深度の海中を蛇行しながら長距離伝播します。

この音波が長距離伝播する層は「SOFAR(Sound Fixing And Ranging)」と呼ばれています。 SOFAR層は(海洋)音響チャンネルと呼ばれるように、太平洋をまたいだ沿岸同士のような長距離での伝播が可能です。

音響哨戒網 - SOSUS

冷戦下の米国は軍事目的で、世界中の海洋音響観測を行うSOSUS(Sound Surveill-ance System)という音響哨戒網を設置していました。

SOSUSは冷戦が終了した後、学術目的などにも利用開放されたため、海底火山やクジラなどの海洋生物の発する音などが観測できます。 広い海洋中に生息しているクジラの生態の音響的リアルタイム観測が可能になるなど、学術目的での利用に有用な音響観測網となっています。

  ▼SOFARの説明は、防衛大学の防大タイムズ2003年4月
    研究室紹介「海洋音響学研究室」に200Kmの伝播の計算結果の
    グラフが紹介されていてイメージがわかりやすいです。
  http://www.nda.ac.jp/ad/boudaitimes/btms200304/taimuzu200304top.htm
    (フレームページなのでフレームトップをリンクしています。
    メニューの「研究室紹介」にSOFARの説明があります。)

地球 - 海洋
音響技術による温度観測

海洋の温度は、衛星や海洋ブイなどでも観測されていますが、温度によって音速が変化することを利用して、海中に長距離伝達に適する低周波を流し、各所で受音した時間を測定すると、音源地点から受音点までの経路中の温度が推定でき、 沢山の計測点の組み合わせによって、地球規模での温度を測定することができます。

低周波の海洋生物への影響
海洋生物

1980年代後半にはSOSUSを含む世界規模での測定実証が行われ、90年代には世界の海洋温度の音響観測が計画、組織化されましたが、海洋生物への影響の懸念から実現されず計画は終了しています(北極海の米-露共同計画などでは音響観測計画が継続しているようです)

クジラのコミュニケーションは海中の音響チャンネルも利用して非常に遠距離のコミュニケーションをしているのではないかと言われています。

  ▼JAMSTEC 海洋科学技術センター
    刊行物「Bule Earth」第14巻 第4号(通巻第60号)36,37Pに
    「海のなかは音の世界 ナガスクジラのサウンドチャンネル」
    という記事があります(PDF)
    http://www.jamstec.go.jp/
    「日本語ページ」-「刊行物閲覧室」-「Blue Erath」-
    「第14巻 第4号(通巻第60号)(2002年7、8月)」順にたどる
    とPDFの目次が表示されます。目次から各ページを閲覧できます。

衝撃性の大音量の影響
海洋生物:イルカ

低周波ソナーは、海中での低周波の減衰や拡散が少ない特性を利用した音響観測手法ですが、広域を観測する音源は、爆薬の爆発音など衝撃性の大音量を利用する必要があります。

クジラなどが生息していて、音を聞いている海域に大音量の爆発音などを与えることになるため影響が問題とされています。

215dBとも言われる大音量では「びっくりした」だけでは済まないだろう……ということです。

周期音の共鳴による危険性
海洋生物

周期音も利用される場合があるようですが、この場合には、丁度、肺や内蔵などの器官が共鳴を起こすようなサイズの生物に破裂などのダメージを与えるかも知れないという点も懸念されています。

現在は、米海軍と環境団体との協議の結果、低周波ソナーの利用を「一部の海域(東アジア海域)を除いて」禁止となっています(日本海などは一部の禁止除外地域です)

  ▼前回もご紹介したHotWiredの
    「米海軍の低周波ソナーをめぐる訴訟、最終段階へ」
    の続報は見つからないので米国での最終状況は判りませんが、
    10月に日本海などでの限定利用を環境団体が容認というニュース
    が一般ニュースで流れされていました。
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030702306.html

つづきは次回に、それでは、次回もよろしくお付き合いください。

サウンドコラム 音響とオーディオの四方山

音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記

「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

サウンドコラム 音とオーディオの四方山

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50

50コーデックキラー
音声圧縮エンコードとノイズ
49自衛隊の大砲を使ったコンサート
チャイコフスキー序曲「1812年」
48デジタルアンプとデジタルスピーカ 6
デジタルスピーカの特徴 2
47デジタルアンプとデジタルスピーカ 5
デジタルスピーカの特徴 1
46デジタルアンプとデジタルスピーカ 4
特徴 3 - 効率、発熱、クロスオーバー
45デジタルアンプとデジタルスピーカ 3
特徴 2 - パワーアンプと伝送
44デジタルアンプとデジタルスピーカ 2
デジタルアンプの特徴 1 - シンプルな構成
43デジタルアンプとデジタルスピーカ 1
D級アンプと消費電力
42プレーヤーとメディアのハイブリッド化
BD / HD DVD / DualDisk
413D音響システムとスピーカ・アレイ
Iosono(アイオソノ)とサラウンド

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.31〜40

40音効とCGスペクタクル映画
映画の音響効果とリアリティ
39開発者の音作りと発想
デジタルの音作りと哲学
38海の音響技術 後編
海洋音響トモグラフィー/深層海流の計測
37海の音響技術 中編
音響チャンネル(SOFAR) 音響哨戒網
36海の音響技術 前編
海洋の音響技術ソナーと低周波ソナー
35チェンバロにタンチョウヅルの羽根
サウンドコラム 35
34VoiceXML 2.0勧告案公開
サウンドコラム 34
33騒音性難聴の防止薬品
サウンドコラム 33
32闇と静寂
サウンドコラム 32
31Inter BEE 2003 とHD放送
SD、HD、テレビ解像度

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.21〜30

音響冷却方式と水冷式 / 魔法の杖と音声認識の確率(自動音場調整AVアンプのレビュー) / 過去と周期と予想 / 音の記憶 / 録音テープの「肉声」 / 米国のCD市場の変化とCCCD / 音質?デザイン? / 機械の音のリアクション / 3D音響のトラッキング付き配信(ヘッドホンの立体音響, ヘッドトラッキング) / 地上デジタルTV 開始とInter BEE

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20

CDを再生できないCDプレーヤー CCCD(Copy Control CD) / 音質は確実に落ちている? / 手軽に音響測定 / アカデミー音響賞、音響効果賞 / デジタルTVの双方向性 / テクノロジーと本質の視点( デジタル・オーディオは高音質か? ) / PCMはCDと同じ? / デジタルアンプの時代( デジタルアンプのコンシューマ化 ) / オーディオ機器への音楽配信 / 家庭の音場補正

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10

デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」

サウンドコラム 音響関連イメージ

サウンドコラム 音響測定編

音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性

「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。

サウンドコラム 音響測定編

サウンドコラム 音響測定編 音圧分布

音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ

サウンドコラム 音響測定編 周波数特性

周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生

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Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

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