コンサートホールや劇場などの音場、音響空間を別の再生場所で再現する手法にバイノーラル録音・再生技術があります。
バイノーラル録音には、耳(内耳)にマイクが装着されたダミーヘッド(両肩や胸の反射なども影響があると考えられるため頭部と胴体までのものが主流です) を使用する方法や自分の耳にマイク(バイノーラル・マイク)を装着して録音するリアルヘッド録音があります。
ダミーヘッドの場合もリアルヘッドでもマイクロホンの出力をポータブル・レコーダー等に記録すれば方向感、上下感や距離感等の音場情報を持ったバイノーラル信号を収音することができます。
バイノーラル録音の聴取はヘッドホン聴取が一般的ですが、そのままヘッドホン再生しただけだと 録音時にダミーヘッド(またはリアルヘッド)の耳元に到来した音に再生時のヘッドホンの特性と聴取者の 耳の特性が重畳してしまいます。
収音された音場情報を厳密に再現するにはヘッドホンと聴取者の耳との間の特性を補正(キャンセル)する必要があります。 補正により、ダミーヘッドやリアルヘッドの耳元に到来した音波を聴取者の耳元に正確に再現することができます。
補正特性を求めるにはヘッドホンと耳との間のインパルス応答を測定し、その逆フィルタをデジタルフィルタで 構築する方法や適応フィルタによるデジタル信号処理で直接求める方法などがあります。
研究や実験ではこの補正を行っていますが、実際の製品では、リアルタイムにデジタル適応フィルタで補正を行うことは、やや難しいのが現状です。
そのため、現在、一般に体験できるバイノーラル録音の最良の再現環境は、ヘッドホン再生を用いる方法になっています。
バイノーラル録音したものをスピーカで再生する方法(クロストークキャンセル再生、 トランスオーラル再生と呼ばれます)もあります。
これは、スピーカ再生時に左スピーカから右耳へ到達する音、右スピーカから左耳へ到達する音を デジタルフィルタでキャンセルして、スピーカ再生でヘッドホン聴取と同じ環境を構築するものです。
クロストークキャンセルを用いるこの手法は、位相による打ち消し信号が正しく機能する聴取位置でなければ、旨く再現できませんので、 聴取者の位置や方向がシビアになります。
この対策のために実際には、立体感の効果を妥協し、クロストークの打ち消しを弱めにする方法が取られるのが一般的です。
音場解析・シミュレーション音場解析は、音場のインパルス応答測定による解析、コンピュータによる音場シミュレーションによる解析等の手法を用います。 |
バイノーラル録音・再生技術コンサートホールや劇場などの音場、音響空間を別の再生場所で再現する手法にバイノーラル録音・再生技術があります。 |
立体音響技術(音像定位技術)モノラル信号をデジタル信号処理によってバイノーラル化、三次元音響空間を作り出す技術です。 |
適応制御、適応フィルタの応用適応フィルタは、フィルタの出力を目標とする信号に近づけていくようにフィルタ係数を自己調整する機能を持ったデジタルフィルタです。 エコーキャンセル/ハウリング抑制 アクティブノイズキャンセル(ANC) |
高速同定による適応制御高速H∞フィルタを利用した高速同定と高性能な適応制御、適応フィルタと応用 エコーキャンセラ、ノイズキャンセラ ハウリングサプレッサなど |
組込みシステム開発技術展 エコーキャンセラー付き音声認識第12回 組込みシステム開発技術展において |
エーアールアイは、音場解析・シミュレーションソフトウェア、適応制御によるエコーキャンセラ、 ノイズキャンセルマイク等のハードウェア製品やソフトウェアの開発を行っています。 ARI製品については「製品情報」、実績については「開発実績」に掲載しておりますのでご覧下さい。