信号処理とシグナルフロー

ソフトウェア開発 - 音声のデジタル信号処理
技術開発 ソフトウェア
DSPボード デジタル信号処理 image DSP デジタル信号処理 image インパルス応答とFIRフィルタ image DSP/信号処理 IIRフィルタ image DSP/信号処理 サンプリングとアナログ image

音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.

信号処理とシグナルフロー
音響信号のデジタル信号処理ソフトウェア、DSPの処理

デジタル信号処理の場合には、回路図のような信号の流れと処理を図式化したシグナルフロー図(シグナルダイアグラム)を設計の一部に用いることが一般的です。

デジタル信号処理 : シグナルフロー図 イメージ
シグナルフロー/ダイアグラム 入力 → 出力

シグナルフローは、入力から出力が、左から右に信号が流れるように図式化するのが慣例です。 シグナルフローとソースコード、メモリマップ(係数、データ、I/F)がDSPの実装上の主な設計図書とソースコードになります (演算アルゴリズムの検証や計算式などは別に必要ですが)

演算レベルの詳細図で処理フローを表すケースもありますが、フィルターやボリューム、ミキサーなどを別の回路シンボルでまとめて表現する方法も取ります。 特に設計ルールに規定しない場合には、慣習と目的に応じてダイアグラム上のシンボルは使い分けられています。

デジタル信号処理 : シグナルフロー図 シンボル
シグナルフローのシンボル化の例

信号処理で用いられる処理は、単純な機能や演算の組合せで構成されている部分が多くを占めています。

乗加算 - ミキサー、ボリューム

乗加算、ミキサー、ボリューム image

DSPの代名詞的な演算に乗加算があります。 信号に係数を乗算して加算するという単純な処理ですが、最も基本的で重要な計算処理です。

音声のボリュームやミキサー、ミュート、スイッチは乗加算処理そのものになります。 ただし、動的に操作されるボリュームは、連続的な係数変化が必要なため、係数を積分器を用いるなどして補間動作にしている場合が一般的です。

変更可能なボリュームが多数存在すると、補間器の計算リソースと演算用のメモリが多数必要となるため、 音声用途のカスタムDSPなどでは、係数の補間機能をハードウェアが担う設計になっている場合もありますが、通常、補間処理はソフトウェア処理で行われます。

遅延 - ディレイ

ディレイ、遅延素子 image

乗加算などの演算についで、ディレイ、遅延素子は、基本的な処理です。 エコーのような音声信号を聴感的に大きく遅延させる利用方法に留まらず、サンプリング単位で遅延する(単位遅延=Z-1)処理は、デジタルフィルタなど多岐わたってに利用されます。

信号を遅らせるには、バッファにサンプル値を書き込んでおき、後で必要になった時に読み出します。 遅延が長い時はリング・バッファを使います。

シグナルフローでは z-N のように書いて N サンプルの遅延を表します。

フィルター

フィルター(FIR,IIR)、EQ(LPF,HPF,BPF,PEF,SHH,SHL)

遅延と積和演算を組み合わせると、特定の周波数帯域だけを通過させるなどの周波数特性を持ったフィルターを作ることができます。

アナログ・フィルターの場合は Laplace(ラプラス)変換、ディジタル・フィルターの場合は z変換が用いられます。

フィルターは、基本的なアルゴリズムとして応用範囲が広く、オーディオ信号の周波数特性を処理するためのイコライザ(EQ)やチャンネルディバイダーなどフィルターそのもののイメージの処理から、 オーバーサンプリングフィルターなどの他、特定の周波数帯域をカット、強調、制限するような目的で使用されます。

インパルス応答の畳み込み演算は遅延と積和演算のアルゴリズムです。 インパルス応答が判明している場合にFIRフィルターで畳み込み演算を行うと特性をシミュレーションすることができます。

FIR型のフィルターは処理量が多いため、EQなど音声に用いるLPFやHPFなどの目的では、IIRフィルターが用いられています。

二次のIIRフィルター シグナルフロー図

補間とテーブル変換/曲線近似

サンプルとサンプルの間の値を求める補間は、サンプリング周波数変換やピッチ変換などの信号が時間軸上不連続となる演算が発生するアルゴリズムで使われます。 ビブラート、コーラス、フランジャーなどの楽器用エフェクターでLFOで周波数変調するタイプも補間が必要になります。

デジタル信号の2点間の時間を延ばしたり、不連続なデータを連結するような処理を行うと、エイリアシングノイズが発生します。 そのため、時間軸上での信号処理では、フィルターや補間計算が必要です。

補間には一次補間から高次関数による補間、オーバーサンプリングなどさまざまな処理方法がありますが、処理量の差や目的、補間の特性によってアルゴリズムが適用されます。

サンプル間にゼロを挿入してサンプリング周波数を上げ、ロー・パス・フィルターにより帯域制限してやるとエイリアシングを防ぐ上で効果的です。

sin, cos, exp, log など時間のかかる関数演算は、精度が要求されない場合、テーブル補間で済ませることがあります。

発振、波形生成、ノイズ

周期波形 : 正弦波,鋸歯状波,三角波,矩形波
波形生成

正弦波は用途が広く、様々な生成手法 (多項式近似、テーブル補間、CORDIC など)があります。元来高次倍音を持たず、周波数をスイープするのも楽です。

鋸歯状波、矩形波は不連続な信号で、豊富な高次倍音を持つためエイリアシングを起こしやすく、周波数をスイープするとノイズが目立ちやすい波形です。倍音が多くて演算は重いのですが正弦波合成するのが理想です。

三角波は正弦波と鋸歯状波の中間的な波形です。高次倍音の減衰が速いので周波数をスイープしてもエイリアシング・ノイズは目立ち難い方です。

ノイズには様々な種類がありますが測定用途ではホワイト・ノイズが使用されます。ハードウェアで簡単に作れる 2 値の M系列や、振幅確率密度が均一な一様分布ノイズ、正規分布するガウシアン・ノイズなどが使用されますが、聴いた感じはどれも同じに聴こえます。

変調 AM,FM,ビブラート、トレモロ

AM変調(Amplitude Modulation)はキャリアの振幅を変調します。 波形同士の積を取るため、スペクトラムはそれぞれの信号のスペクトラムの畳み込みになります。

楽器用エフェクターのリング・モジュレーターは、2つの信号波形同士でAM変調をかけるもので、倍音構成が壊れるため金属的な音が得られます。

FM変調(Frequency Modulation)はキャリアの周波数を変調します。 信号が周波数変化になるため、耐ノイズ性がAMより強く、放送をはじめ電波通信関連でポピュラーな変調方式です。

ヤマハのデジタルシンセサイザーに搭載されたFM音源は FMを多段組み合わせたもので、複雑な音色が得られ、一世を風靡しました。

キャリアが正弦波の場合、AM は解析信号の振幅を求めることで、FM は解析信号の位相差分を求めることで復調することができます

ビブラートとトレモロ

周波数とレベルの音声の変調には、ビブラートとトレモロ効果があります。 周期波形(正弦波、三角波、鋸歯状波、方形波)のLFOによって周波数と音量を変調します。 AM、FM変調とは異なり、基準となるピッチ、音量に加減算するような変調です。

LFOは、コーラス(chorus)、フランジャー(flanger)、フェイザー(phaser)などディレイを変調するタイプの楽器用エフェクターでも用いられます。

相関、FFT、逆FFT

相関

ふたつの波形が似ていると相互相関が強くなり、相互相関のピーク位置からふたつの波形のズレや一致を知ることができます。 周期の検出には自己相関が用いられます。相関処理は比較的ポピュラーなものです。

相互相関はふたつの信号の一方をずらしてもうひとつの信号と掛け合わせ、総和を取ることで得られます。クロス・スペクトラムのフーリエ逆変換でも得られます。

自己相関は相互相関の特殊なケースで、自分と自分をずらした信号を掛け合わせて総和をとることで得られます。パワー・スペクトラムのフーリエ逆変換として求めることもできます。低次の自己相関は線形予測法や PARCOR にも使われます。

FFT

FFT (Fast Fourier Transform) は離散フーリエ変換を高速に求めるアルゴリズムで、1965 年に Cooly と Tukey によって発表されて広く使われるようになりました。バタフライ演算の繰り返しで構成され、正直に回転子行列を乗算する場合に比べて、劇的に少ない演算量で離散フーリエ変換が可能になります。

なお FFT よりもさらに少ない演算量で済む WFT (Winograd Fourier Transform) というものもあります。

圧縮、伸張 エンコード、デコード

圧縮は、完全に元に戻せる可逆圧縮と、完全には元に戻らない不可逆圧縮に分かれます。

特に不可逆圧縮は人間の視覚聴覚の特性を利用して劣化が目立たないように工夫されており、高い圧縮率が得られます。画像では jpg、音声では mp3 などが不可逆圧縮です。

音声のデジタル信号処理、詳細

これ以外の信号処理や分析処理などは多数ありますが、また、別の機会に…



Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

《 信号処理とシグナルフロー : ソフトウェアと音響のデジタル信号処理 》

株式会社エーアールアイ/ARI CO.,LTD.
東京都八王子市横山町6丁目9番 丸多屋ビル8F
tel:042-656-2771 fax:042-656-2654

ARIは、音響製品や試作、研究開発、DSPやCPUのファームウェア、ハードウェア制御をするPC用ソフトウェア、PCアプリケーション、これらの技術を総合的に生かしたシステム等を受託開発業務として行っております。

エーアールアイ会社情報
製品情報と販売
音響と開発・サービス
音響機器メーカーと代理店

ご利用案内 | 免責事項 | ARI 音響と開発のサイトマップ | 株式会社エーアールアイ | 東京都八王子市横山町6丁目9番 丸多屋ビル8F

Copyright(c) 2001-2015 ARI Co.,Ltd. all rights reserved.