チェンバロにタンチョウヅルの羽根

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.35
音響,AV サウンドコラム
グランドピアノ 弦 グランドピアノ鍵盤 グランドピアノ ピアノ鍵盤

音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
音とオーディオの四方山

チェンバロにタンチョウヅルの羽根

サウンドコラム 35
35

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

チェンバロにタンチョウヅルの羽根

あまり目立たないニュースでしたが、今月(2004年2月掲載時)、チェンバロ製作者の方が、特別天然記念物に指定されているタンチョウヅルの羽根を使いたいと申し込んで環境省に拒否されたというニュースがありました。

  ▼「チェンバロにタンチョウヅルの羽根
    難波修さんが構想 環境省、提供拒否 /岡山」
    Yahoo! News 地域 - 岡山ニュース 2月6日(2004年2月掲載時)
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040206-00000001-mai-l33

絶滅危惧種に指定されている鳥などの抜けた羽根でも譲渡には制限がされるというのは初めて知りました(当然ですね、動物によっては、オークションにされたり、高値で販売されたりということにもなりかねないですし……扱いは規則どおりでないと問題がありそうです)

ピアノ鍵盤 image
チェンバロとピアノ

チェンバロ(ハープシコード)は、現在のピアノにつながる鍵盤楽器です。

ピアノは打弦方式ですが(ハンマーで弦を叩いて発音する)、チェンバロは撥弦方式です(弦を爪ではじいて発音するギターのような方法)

チェンバロには、鍵盤による音の強弱コントロールはなく、演奏者の表現する手段が限られる楽器でもあります。 チェンバロから現在のようなピアノに発展する過程には様々な改良や発明が加えられます。

ピアノフォルテ

ピアノフォルテは、現在のピアノの元祖とも言える鍵盤楽器に音の強弱(ピアノとフォルテ)をつけることがねらいで開発されたものです。 ピアノフォルテの登場によって、鍵盤楽器の表現力が豊かになり、オルガンやチェンバロとは異なる音楽表現へと発展して行きます。

  ▼「久保田彰チェンバロ工房」に「チェンバロができるまで」
    という筐体の組み立て時の写真が掲載されています。
    http://www.bekkoame.ne.jp/~sakazaki/eki/kubota/

ピアノフォルテが登場した同時期には、鍵盤楽器に限らずいろいろな楽器の改良が盛んに行われています。 音楽の授業などに出てくるクラシックの古典の時代です。

楽器の進化と作曲、演奏の進化
楽譜 image

このピアノフォルテの登場した時期は、丁度、ベートーベンやモーツァルトの時代です。 モーツァルトは、多数のピアノ曲やピアノ協奏曲を作曲していますが、初期のピアノフォルテでの演奏を前提としているため61鍵盤の音域になっています。

モーツァルトが多用する演奏方法も、チェンバロと類似したトリル(連打)を持続音の代わりのように使っていることが多いのもピアノという楽器の進化と無縁ではないでしょう (非常に長いトリルはモーツァルトの特徴ですね)

ピアノの鍵盤数の増加とベートーベン

直後の時代のベートーベンは、76鍵盤88鍵盤と後期になるにつれて音域が広がったピアノ曲が存在しています (現在のピアノは88鍵盤、シンセサイザーなどのライトウェイト鍵盤は61キーがポピュラーな鍵盤数です)

ピアノ鍵盤 image

これはピアノの音域が拡大されるのと同時に利用可能な鍵盤を最大限利用していることの現れといえるでしょう。

交響曲の3番のホルンといい、ベートーベンは新しい楽器と斬新な利用方法を好んだ人のようです (3番までホルンはリードパートを演奏するような楽器として使われていません)

スタインウェイによるハイテク導入

現在のピアノは、スタインウェイ社のコンサート・グランドに代表されるように近代化によって、さらに大音量に、響きやハンマーアクションを改良したものです。

鉄骨のフレームや弦の張り方など沢山の改良がほどこされているため、初期のピアノフォルテとは大分、音も、大きさも機構も異なっています。

チェンバロの時代には、ダンパー(鍵盤と連動して弦を押さえて消音するための消音機構)にもペダルコントロールは最初はついていませんし、当然ソステヌート・ペダルなどもありません。

  ▼野神俊哉:チェンバロ製作家
    「〜ダンパーペダルを使った世界最初の試み〜」というページで
    ダンパーペダル付チェンバロも製作されているらしいことが判りました。
    http://sky.zero.ad.jp/jsd/jsd/d-works/Nogami/Nogami.html

チェンバロに話を戻すと、撥弦部の爪にタンチョウヅルの羽根を使おうということのようですが……これはむずかしそうですね。

材料や製法が本質か

ピアノの鍵盤の白鍵の象牙も難しくなったように従来の材料にこだわるのは難がありそうです。

記事によると「環境問題やリサイクルに関心を持ち、視野を広げることにつながると思う。」とおっしゃっているようですが、環境問題はともかく、リサイクルに結びつけるのは……少し無理があるような気がします。

工業用プラスチックなどで代替しても、楽器の「音」が守られていれば、伝統の楽器といっても良いのではないでしょうか。

現在のピアノは、クラシック音楽の楽器として用いられていますが、鉄骨フレームなどが導入された 工業技術を用いた高度な楽器です。ピアノ誕生した当時の音とは異なることも認識された上で、なお、愛用され、古典も演奏されている楽器でもあります。

サウンドコラム 音響とオーディオの四方山

音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記

「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

サウンドコラム 音とオーディオの四方山

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50

3D音響システムとスピーカ・アレイ Iosonoとサラウンド / プレーヤーとメディアのハイブリッド化(BD,HD DVD,DualDisk) / デジタルアンプとデジタルスピーカ(D級アンプと消費電力, 特徴-シンプルな構成- パワーアンプと伝送 -効率,発熱,クロスオーバー,デジタルスピーカの特徴) / 自衛隊の大砲を使ったコンサート / コーデックキラー(音声圧縮エンコードとノイズ)

サウンドコラム 音響関連イメージ

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.31〜40

40音効とCGスペクタクル映画
映画の音響効果とリアリティ
39開発者の音作りと発想
デジタルの音作りと哲学
38海の音響技術 後編
海洋音響トモグラフィー/深層海流の計測
37海の音響技術 中編
音響チャンネル(SOFAR) 音響哨戒網
36海の音響技術 前編
海洋の音響技術ソナーと低周波ソナー
35チェンバロにタンチョウヅルの羽根
サウンドコラム 35
34VoiceXML 2.0勧告案公開
サウンドコラム 34
33騒音性難聴の防止薬品
サウンドコラム 33
32闇と静寂
サウンドコラム 32
31Inter BEE 2003 とHD放送
SD、HD、テレビ解像度

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.21〜30

30地上デジタルTV 開始とInter BEE
サウンドコラム 30
293D音響のトラッキング付き配信
ヘッドホンの立体音響/ヘッド トラッキング
28機械の音のリアクション
サウンドコラム 28
27音質?デザイン?
サウンドコラム 27
26米国のCD市場の変化とCCCD
サウンドコラム 26
25録音テープの「肉声」
サウンドコラム 25
24音の記憶
サウンドコラム 24
23過去と周期と予想
サウンドコラム 23
22魔法の杖と音声認識の確率
自動音場調整AVアンプのレビュー
21音響冷却方式と水冷式
サウンドコラム 21

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20

CDを再生できないCDプレーヤー CCCD(Copy Control CD) / 音質は確実に落ちている? / 手軽に音響測定 / アカデミー音響賞、音響効果賞 / デジタルTVの双方向性 / テクノロジーと本質の視点( デジタル・オーディオは高音質か? ) / PCMはCDと同じ? / デジタルアンプの時代( デジタルアンプのコンシューマ化 ) / オーディオ機器への音楽配信 / 家庭の音場補正

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10

デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」

サウンドコラム 音響測定編

音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性

「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。

サウンドコラム 音響測定編

サウンドコラム 音響測定編 音圧分布

音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ

サウンドコラム 音響測定編 周波数特性

周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生

≪ サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山 ≫

Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

《 チェンバロにタンチョウヅルの羽根 : 音響・オーディオ,AV サウンドコラム 35 》

株式会社エーアールアイ/ARI CO.,LTD.
東京都八王子市横山町6丁目9番 丸多屋ビル8F
tel:042-656-2771 fax:042-656-2654

ARIはアナログ、デジタル音響機器の ハードウェア開発ソフトウェア開発、 製品、受託開発を行なっています。試作、研究開発や特注機器などのソフト、ハード、システムの設計から製造までご相談いただけます。

エーアールアイ会社情報
製品情報と販売
音響と開発・サービス
音響機器メーカーと代理店

ご利用案内 | 免責事項 | 音響とAVのサイトマップ | 株式会社エーアールアイ | 東京都八王子市横山町6丁目9番 丸多屋ビル8F

Copyright(c) 2001-2017 ARI Co.,Ltd. all rights reserved.