このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
音の音程、ピッチの検出は、楽器用チューナーやカラオケの採点機能(歌ったときの音量や音程で機械が採点する機能)などでご存知かと思います。今回は、周期信号の周期検出や予測についてです。
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http://www.dokaraoke.jp/kenkyu05/index.html
単音のピッチの検出は、かなり単純化した波形にとみなしてしまっても、簡単な技術で比較的うまくできます。
チューナーやカラオケ採点機能などでは、リアルタイム性もそれほど高くありませんので(数秒、数百ms遅れても十分なので)波形を予測したり、瞬時に検出する必要がありませんが、楽器音をMIDI出力するような機器、シンセサイザー・ギターなどのような機器では、早期に検出するため予測などが行われている場合があります(詳細はわかりませんが)。
周期を検出するには1周期以上の繰り返しが発生した時に初めて周期性が見出せるにすぎません。確実性を取るなら2周期以上の時間が必要です。
7月26日(2003年8月掲載時)、甚大な被害を出した宮城県の地震では、最も大きい地震となった余震の予想がはずれた点を、報道機関が多く取り上げていました。
地震予測には、過去の振動データ以外に、地下のエネルギーなどの多方面の技術があるとは思いますが、大きなウェイトは、過去の観測結果から相関的に傾向を予測することだと思います。
これを考えると、過去には、同地域で最初の振動より大きい余震が発生した観測結果はないとのことですから、先の余震の可能性を予測することは技術的にもかなり困難なのではないかと思います(振動観測以外の地磁気などのデータでは違いがあるのかも知れませんが)。
▼気象庁ホームページ
http://www.jma.go.jp/
過去のデータから、周期性や先の動向を予想することは、地震や気象現象に限らず、経済などでも、行われる最もポピュラーな考え方だと思いますが、過去のデータと相関がない現象や周期性の無い現象や周期性があってもデータが1周期に満たない場合には、一般に予想は困難かと思います。
残念ながら、今回のように相関傾向が無い場合には予測できないのはやむをえないのではないかと思いました。
地震に限らず、色々な現象について予想する時、周期性があるように見える場合も、一部を見て、その全てを理解し後の現象そ予測することができないことは容易に想像できます。
(気象庁以外の地震関連の参考サイト)
▼地震調査研究推進本部
http://www.jishin.go.jp/main/index.html
▼防災科学研究所
http://www.bosai.go.jp/jindex.html
高い周波数と低い周波数が合成されたデータの高い周波数の1周期が判明した時点では、高い周波数1周期の性質を持つと考え勝ちですが全体の周期は、低い周波数と高い周波数の周期が一致した公倍数まで完全に安定的な周期を見出すことができません。
経済や自然現象などに関する予測などでも、単純な増減を根拠に予測されている場合がありますが、根拠となるデータがどのような性質を持つものかを認識することは重要かと思います。
信号波形をオシロスコープで時間やレベル窓を変えながら見ていると、全体像が判明していない場合、データの見る範囲や観点で全く違ったものと考えることもあるということを思い出します。
音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記
「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
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サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.31〜40InterBEE2003とHD放送(SD,HD,テレビ解像度) / 闇と静寂 / 騒音性難聴の防止薬品 / チェンバロにタンチョウヅルの羽根 / 海の音響技術(低周波ソナー LFAS, SOFAR, SOSUS, 音響トモグラフィー, 深層海流の温度計測) / 開発者の音作りと発想(デジタルの音作りと哲学) / 音効とCGスペクタクル映画(映画の音響効果とリアリティ) |
サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.21〜30 |
サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20 |
サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」 |
音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。
サウンドコラム 音響測定編 音圧分布音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ |
サウンドコラム 音響測定編 周波数特性周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生 |