PCMはCDと同じ?

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.17
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音とオーディオの四方山

PCMはCDと同じ?

サウンドコラム 17
17

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

前回は、デジタルオーディオについて話題にしましたが、今回は、PCMの呼び方についてを話題にしたいと思います。

PCM(Pulse Coded Modulation)とは、音響、電気通信などの分野では、パルス符号変調の英字略で、アナログの信号を標本化(サンプリング)して、量子化(数値化)する方式を指します。

大雑把にいうと、標本化は連続信号を時間軸での離散的に測定することで、量子化がレベルを段階付けするものということです。

  ▼ASII24 アスキーデジタル用語辞典
    「PCM」
    http://yougo.ascii24.com/gh/02/000280.html

なぜ、いまさらPCMを話題に取り上げたかというと、音響、コンピュータ、映像、電子楽器など各分野で、簡易にPCMが説明されている内容や表現に違いがあり、中には、かなり、きわどい説明を見かけることがあるのが気になっていたからです。

例えば、オーディオ関係で「1ビットオーディオの対義がPCMである」という説明を見たことがあります。

1ビット方式やSACD(Super Audio CD)の記録方式DSD(Direct Stream Digital)は、PCMとは異なり信号のレベルをデータの密度に変換記録する方式になりますが、「対義」といえるような2者だけの対極的関係かと考えると少々疑問です。

  ▼SACDのDSDについては、公式ページに説明されています。
    (このページが上の説明をしているわけではありません)
    「Super Audio CD
    http://www.super-audiocd.com/

コンピュータの音源での説明では、「FM音源、PCM音源、MIDI音源」と列挙されていました。

  • FM : Frequency Modulation 周波数変調
  • MIDI : Musical Interface Digital Interface
    電子楽器間のインターフェース規格

FM音源とPCM音源のように音源方式のメジャーな方式を比較、列挙するのは良いのですが、MIDIは、音源方式とは異なるので音源の方式の分類としてはどうかという感じがします(FM方式のMIDI対応音源はどこに属するのか)

また、加算合成方式や物理シミュレーション系音源などは、どの方式にも含まれなくなってしまいそうです(MIDI音源でしょうか?)

コンピュータの音源を分類するのに少し混乱しているように見えますが、一般向けに簡単に説明するのには、この方が都合が良いのかもしれません(PCM音源の説明をCDと対比して説明すると、サンプリング周波数なども少々厄介な場合があります。44.1KHzと説明されている物を見た記憶がありますが、音源によって千差万別でキーによってサンプルごとに違っている音源もあるので...というか違っている物の方が多いのでは?)

前回ここで話題に出したE-muのサンプリング音源や当時のサンプリング方式の電子楽器は、デジタル部分は、リニアPCMで動作していますが、アナログ部に逆対数-対数アンプを持っているので、8bit、12bitでのPCM方式であってもノンリニアで聴感上は、リニア方式の場合より品位が良く聞こえます。

さらに、ハイブリット方式のサンプリング音源の多くは、サンプリング周波数を変化させてピッチ変化をさせているため、デジタルのPCM音源とは原理的に出力される信号が異なります(デジタルは、サンプリング周波数固定、ハイブリットは発音ごとに再生周波数が異なります。これもまた前回出したメロトロンに近い方法になります)

映像系では、ドルビーデジタル(Audio-Codec)との音声記録の違いを説明するために、PCMとドルビーデジタルと記載されているようです。

実際、ドルビーの場合には、コーデックによって聴覚マスキングによる圧縮記録ですから記録方式が異なります。

ドルビーのデジタル方式は、かつてはSRとか色々とついていたのですが、現在は、単にドルビーデジタルとされることが一般的なようです。

DVD-Audioの192KHz、24bitサンプリングの場合には、リニアPCM24bit(192KHz)などのように分けて記載されることが多いようです。

  ▼DVD-Audioはこちらです。
    (このページの説明も問題があるわけではありません)
    http://www.dvdaudio-net.com/

実際には、リニアPCMでサンプリングした後、記録の前にデジタルでADPCMなどに変換していたり、マスキング圧縮したりする場合もあるので、A/D変換から説明されている物の中には、微妙な説明のものも存在しているように思います(特に簡易に説明している場合)

多くの場合、単に「リニアPCM」と言った場合には、44.1KHz、16bitの方式や信号を指すというような使われ方になっているみたいです(でも44.1KHzではない場合も含まれていたりする物もあるので非圧縮リニアPCMだとPCMと呼ぶのかもしれません)

個人的には、少し気になる時があるのですが、一般的には大した問題ではないので、大雑把に「PCM」や「CDと同じ」という説明でも良いのかもしれません...。

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