残響は、音源からの音波が壁などに反射しながらエネルギー減衰し、様々な方向から遅れて到達する複雑な組合せの反射音です。
室内で音源から発音すると受音点には最初に直接音が到達します。 直接音は音源から出てどこにも反射せずに受音点に直接到達した音です。 直接音に続いて壁、天井、床などに反射した音(反射音)が受音点に到達します。
上の図は、直接音と壁に一度だけ反射して到達する音の様子を模式的に表したものです。 実際は、壁に複数回反射して到達する音がありますので、時間の経過と共にあらゆる方向から反射音が到達し複雑な反響になります。
到達時間の早い特徴的な反射音を初期反射音(アーリーリフレクション:Early Refrection)、 それに続く複雑な反射音群を残響音(リバーブ)と呼びます。 残響音は後部残響音とも呼ばれます。
このように室内の反射音の構造は次の音波から構成されていると考えられます。
直接音 | 音源から直接到達する音 |
---|---|
初期反射音 | 直接音から短い時間に到達する反射音 |
後部残響音 | 初期反射音より遅れて到達する反射音 |
残響時間は室内の響きの状態を示す指標の一つで、室内の音のエネルギーが-60dB(100万分の1)に なるまでの時間を残響時間と定義し、RT60と表記されます。 単に「残響時間」とのみ表現された時には、通常RT60のことを指しています。
残響時間の測定をサウンドレベルメーター(騒音計)で測定する場合は、ピンクノイズやピストルの発射音などを音源として残響音のレベルが減衰するまでの時間を計測します。 M系列ノイズやTSP(Time Stretched Pluse)、パルスを利用してインパルス応答を測定した場合には、室内のインパルス応答をシュレーダー積分して得られるエネルギー減衰カーブ(残響波形)から求めることができます。
残響波形は次式で求めることができます。
次のグラフは、上に掲載しているインパルス応答から上式で算出した残響波形です。 この部屋の残響時間は約2.36秒となります。
残響時間の計算には、C.F.Eyringが提案した建物の容積、表面積、平均吸音率から概算する計算式があり、 建築設計時の残響時間の予測に利用されています。
アイリングの残響計算は、ここで述べるリバーブの信号処理とは無関係ですが、残響時間の計算としてポピュラーなものです。
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