海の音響技術 後編 /海洋音響トモグラフィー

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.38
音響,AV サウンドコラム
海洋 : 魚群 海洋 : 魚群 海洋生物 : イルカ 地球 : 海洋

音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
音とオーディオの四方山

海洋音響トモグラフィー

海の音響技術 後編 / 音響技術による深層海流の温度計測
38

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

海、潜水

前回と前々回につづいて、低周波を利用した海洋音響ソナーの話題です。

前回と前々回は、海洋低周波ソナーという海の音響測定技術による海中の物体探索や地球規模での温度測定、そしてクジラなどの海洋生物に対する影響の懸念から技術利用が中止されていることなどをご紹介しました。

また、動物保護団体との協議の中で、日本海を含む東アジア地域は、利用禁止海域の例外となっていることに触れました。

海洋音響トモグラフィー
地球

最近はTVの地球温暖化を扱う番組や気候に関する番組などで大西洋から太平洋にいたる深層海流による地球規模での温度交換の仕組みをグラフィック化した「海洋音響トモグラフィー」を目にすることがあります。

「海洋音響トモグラフィー」というのは、先の低周波ソナーによる温度計測などの結果をコンピュータ・グラフィックスを用いて視覚化する技術のことです。

カラーマップコンター(色分けした等高線図のようなもの)や立体表示のように計測データをコンピュータで視覚化することで、全容を把握しやすくしたものが「海洋音響トモグラフィー」と呼ばれる技術で、音速変化の測定結果から海洋温度を求めグラフ化されます。

音響技術による深層海流の温度測定

世界地図にカラーマップされた深層海流のグラフィックを見ると、人工衛星による温度観測のような気がしますが、衛星の赤外線観測は、海面温度を計測することはできても深海を計測することは難しい技術です。

あの図は、実は海洋音響技術による観測結果です。

  ▼前回もご紹介しました防衛大学の「海洋音響学研究室」に
    「海洋音響トモグラフィー」の1例が掲載されています。
    (左メニューの「研究室紹介」)
    http://www.nda.ac.jp/ad/boudaitimes/btms200304/taimuzu200304top.htm

海洋と低周波のイメージ

このような低周波ソナーは、90年代には北極海の氷の下を通しても観測が可能であることが実験で検証されるに至りましたが、海洋生物に対する影響の懸念から一部の計画を除いて現在では調査の計画は中止されています。

米軍のSOSUS音響哨戒網

この大域の調査には米軍の低周波ソナーシステムSOSUS音響哨戒網の利用が研究者に開放されたことが大きいのですが、これは、すなわち冷戦が終結し、仮想敵国の潜水艦探索技術の機密重要性が低下したことによります。

さらに、東アジア地域が例外的に低周波ソナーの利用禁止海域から除外されているのも同様の理由により、それだけ日本海などの海域が(軍事的に)危険だとみなされているということになります。

生物への低周波ソナー(LFAS)の影響

動物保護団体がともすると過激なほどに海洋生物の保護を主張しながら、ここではクジラなどへの影響があるとされている低周波ソナー(LFAS)の利用を例外的に認めるという協議結果になっています。

海洋

昨年の10月(2004年4月掲載時)に沖縄発の問題となっていた米海軍の低周波ソナー(LFAS)は、東アジアで低周波ソナーを利用した観測を実施しようという動きに対する沖縄での反対運動によるものです。

実際に観測が行われることでどの程度の影響があるのかは懸念の域にありますが、ネイチャー誌などのクジラの集団自殺の原因とされる論文発表などを踏まえても、保護団体との協議を経ても、なお、ソナー観測が必要だという意思が強いことも伺えます。

  ▼HotWired の2001年の記事によると、
    低周波ソナーに対する反対は、米国愛護協会、地球の友、動物福祉協会、
    ディフェンダーズ・オブ・ワイルドライフ、天然資源保護協議会という
    多くの団体であることが判ります。
    「低周波ソナー配備で懸念される海洋生物への悪影響」
    http://www.hotwired.co.jp/news/news/20010508307.html

音響の応用技術は、平和で人や生物に対してやさしい技術利用であってほしいという願望は尽きませんが……

  ▼日経サイエンスのBeyond Discoveryという掲載コーナーには、
    米国科学アカデミーが連載している科学読み物 The Path from
    Research to Human Benefitを元に作成された記事が掲載されています。
    「海洋の秘密を音で探る」という、米国海軍省,海軍研究局,
    米国科学アカデミー出資による海洋音響調査に関する判りやす
    く簡潔にまとめられた記事があります。
    http://www.nikkei-bookdirect.com/science/index.php
    (Beyond Discoveryという中央あたりのメニューにあります)

サウンドコラム 音響とオーディオの四方山

音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記

「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

サウンドコラム 音とオーディオの四方山

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50

50コーデックキラー
音声圧縮エンコードとノイズ
49自衛隊の大砲を使ったコンサート
チャイコフスキー序曲「1812年」
48デジタルアンプとデジタルスピーカ 6
デジタルスピーカの特徴 2
47デジタルアンプとデジタルスピーカ 5
デジタルスピーカの特徴 1
46デジタルアンプとデジタルスピーカ 4
特徴 3 - 効率、発熱、クロスオーバー
45デジタルアンプとデジタルスピーカ 3
特徴 2 - パワーアンプと伝送
44デジタルアンプとデジタルスピーカ 2
デジタルアンプの特徴 1 - シンプルな構成
43デジタルアンプとデジタルスピーカ 1
D級アンプと消費電力
42プレーヤーとメディアのハイブリッド化
BD / HD DVD / DualDisk
413D音響システムとスピーカ・アレイ
Iosono(アイオソノ)とサラウンド

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.31〜40

40音効とCGスペクタクル映画
映画の音響効果とリアリティ
39開発者の音作りと発想
デジタルの音作りと哲学
38海の音響技術 後編
海洋音響トモグラフィー/深層海流の計測
37海の音響技術 中編
音響チャンネル(SOFAR) 音響哨戒網
36海の音響技術 前編
海洋の音響技術ソナーと低周波ソナー
35チェンバロにタンチョウヅルの羽根
サウンドコラム 35
34VoiceXML 2.0勧告案公開
サウンドコラム 34
33騒音性難聴の防止薬品
サウンドコラム 33
32闇と静寂
サウンドコラム 32
31Inter BEE 2003 とHD放送
SD、HD、テレビ解像度

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.21〜30

音響冷却方式と水冷式 / 魔法の杖と音声認識の確率(自動音場調整AVアンプのレビュー) / 過去と周期と予想 / 音の記憶 / 録音テープの「肉声」 / 米国のCD市場の変化とCCCD / 音質?デザイン? / 機械の音のリアクション / 3D音響のトラッキング付き配信(ヘッドホンの立体音響, ヘッドトラッキング) / 地上デジタルTV 開始とInter BEE

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20

CDを再生できないCDプレーヤー CCCD(Copy Control CD) / 音質は確実に落ちている? / 手軽に音響測定 / アカデミー音響賞、音響効果賞 / デジタルTVの双方向性 / テクノロジーと本質の視点( デジタル・オーディオは高音質か? ) / PCMはCDと同じ? / デジタルアンプの時代( デジタルアンプのコンシューマ化 ) / オーディオ機器への音楽配信 / 家庭の音場補正

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10

デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」

サウンドコラム 音響関連イメージ

サウンドコラム 音響測定編

音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性

「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。

サウンドコラム 音響測定編

サウンドコラム 音響測定編 音圧分布

音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ

サウンドコラム 音響測定編 周波数特性

周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生

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Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

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