海の音響技術 前編 /低周波ソナー(LFAS)

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.36
音響,AV サウンドコラム
海洋生物 : イルカ 海洋 : 魚群 海洋生物 : イルカ 海洋

音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
音とオーディオの四方山

海の音響技術 前編

海洋の音響技術ソナーと低周波ソナー(LFAS)
36

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

音響的な手法による降水量推定
南海の海岸

アフリカ大陸南岸にセンサーをつけた多数のブイを浮かべてデータ収集しているディアドリ・バーン教授が海洋科学会議で海洋の情報収集の発表をしているという紹介記事(具体的な内容には触れられていません)の中に海の降水量の測定(推定)に雨が海面にあたる音を利用する方法なども触れられていました。

音響的な手法による降水量推定は、以前から行われていたような気がしますが、広大な海洋レベルでの学術調査などで音響解析技術が利用されていることは、一般の認知度は高くないかもしれません。

 ▼海のデータ収集に知恵を絞る海洋学者たち
    Hot Wired Japan 2004年2月1日
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20040204307.html

海中のイルカ

水中の音響については映画などでおなじみの潜水艦のソナーやイルカの超音波探索能力などが一般的に良く知られています。

タイタニック号の事故が
契機となったソナー開発

ソナーのような海洋での音響技術は、タイタニック号が氷山と衝突する大事故を起こしたことをきっかけにして開発が開始され、10年以上後に実現、以後、主に軍事利用するために進歩しました。

第二次世界大戦での潜水艦(Uボート)対ソナーは映画などでも有名で、対Uボートのために発明されたかのような説明を見かけることもありますが、もっと前から研究されていたようです。

その後も、対ソ潜水艦対策としてソナー技術は研究され進歩しています。

水中の音速と周波数特性

音は、空気中よりも水中の方が速度が早く、また、遠くまで伝わります。

高音より低音の方が長距離での拡散などによる減衰量が少なく、長距離での音響探索に適していることから、近年クジラ等海洋生物の保護問題になっている米軍の低周波ソナー(LFAS : Low Frequency Active Sonner)が開発されています。

海中の魚群

漁船で利用されている魚群探知機も、ソナーですが、一般艦船で利用されているソナーは、超音波帯域(20KHz以上)や高音域のようです。

魚群探知機で低周波レーダーなどと呼称されているものは、米軍の低周波(10〜300Hzあたりの帯域)とは異なり、超音波帯域中の低い周波数と高い周波数の違いを指しているものです。

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    志摩町「第27源吉丸」竣工。 149トン型・FRPかつお一本釣漁船!
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    http://www.furuno.co.jp/news/news71.html

このページを見ると、高周波(81KHz)、低周波(24KHz)と紹介されており、超音波帯域が利用されていることが判ります。

アクティブソナーとパッシブソナー

ソナーは、大きく分けてアクティブ型とパッシブ型に分けることができます。 パッシブ型は集音した音を解析して探索し、アクティブ型は信号を放射して反射音を解析して探索する方式です。 魚群探知機は、アクティブ型のソナー(レーダー)です。

スクリュー音やエンジン音(モーター音)などを船舶や潜水艦が発している場合には、パッシブ型で解析できますが、対象が静かな場合には集音しても解析できません(潜水停止している潜水艦など)

対して、アクティブ型は信号を放射して反射音によって測定するため、対象が音を発していなくても音を反射する場合には測定することができます。 電波の反射を利用する航空レーダーと似た仕組みです。 アクティブ型は、信号を発して、相手にも自分の位置を教えることになるため軍事艦船では利用方法が限られます。

低周波ソナー(LFAS)

米軍の低周波ソナーの技術は、低周波が海中では長距離に伝播することに注目して広範囲の探索に利用できる技術として研究されたもので、現在のLFASは、200〜180dBの大出力を放射し遠方の対象物に100dB以上の大音響での反射音を利用します。

当然、艦船搭載するような目的には適していないのですが、長距離で利用できるため沿岸から海洋を探索することも可能です。

海洋生物

クジラなどに対する影響が問題となったのは、100dBを超えるような大音量をクジラが利用している音の帯域で利用することで、生態にダメージを与えるという点です(クジラはイルカと異なり低音を利用しているそうです。クジラの唄というのがクジラの利用している音声帯域ですね)

他の海洋生物にも影響があるかも知れないとされています。

  ▼米海軍の低周波ソナーをめぐる訴訟、最終段階へ
    Hot Wired Japan 2003年6月30日
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030702306.html

海洋生物
日本近海でのLFAS使用

この低周波ソナー(LFAS)が、昨年10月(2004年3月掲載時)ニュースになっていた沖縄をはじめ、日本近海で米軍が利用することにしている問題のソナーです。

110dB以上とも140dBとも言われている大音量を近海の生物にぶつけることになりますし、米国沿岸では禁止した技術ですので海洋研究や生物保護団体の方などが東アジアでの利用に反対しています。

  ▼SURTASS LFA (低周波ソナー)
    (クジラや亀とフレンドリーイメージの写真が……)
    http://www.surtass-lfa-eis.com/

この低周波ソナーの技術自体の応用は、軍事も利用だけではなく近年の海洋学術調査などに多大な貢献をしているのですが……

つづきは次回に、それでは、次回もよろしくお付き合いください。

サウンドコラム 音響とオーディオの四方山

音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記

「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

サウンドコラム 音とオーディオの四方山

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50

50コーデックキラー
音声圧縮エンコードとノイズ
49自衛隊の大砲を使ったコンサート
チャイコフスキー序曲「1812年」
48デジタルアンプとデジタルスピーカ 6
デジタルスピーカの特徴 2
47デジタルアンプとデジタルスピーカ 5
デジタルスピーカの特徴 1
46デジタルアンプとデジタルスピーカ 4
特徴 3 - 効率、発熱、クロスオーバー
45デジタルアンプとデジタルスピーカ 3
特徴 2 - パワーアンプと伝送
44デジタルアンプとデジタルスピーカ 2
デジタルアンプの特徴 1 - シンプルな構成
43デジタルアンプとデジタルスピーカ 1
D級アンプと消費電力
42プレーヤーとメディアのハイブリッド化
BD / HD DVD / DualDisk
413D音響システムとスピーカ・アレイ
Iosono(アイオソノ)とサラウンド

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.31〜40

40音効とCGスペクタクル映画
映画の音響効果とリアリティ
39開発者の音作りと発想
デジタルの音作りと哲学
38海の音響技術 後編
海洋音響トモグラフィー/深層海流の計測
37海の音響技術 中編
音響チャンネル(SOFAR) 音響哨戒網
36海の音響技術 前編
海洋の音響技術ソナーと低周波ソナー
35チェンバロにタンチョウヅルの羽根
サウンドコラム 35
34VoiceXML 2.0勧告案公開
サウンドコラム 34
33騒音性難聴の防止薬品
サウンドコラム 33
32闇と静寂
サウンドコラム 32
31Inter BEE 2003 とHD放送
SD、HD、テレビ解像度

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.21〜30

音響冷却方式と水冷式 / 魔法の杖と音声認識の確率(自動音場調整AVアンプのレビュー) / 過去と周期と予想 / 音の記憶 / 録音テープの「肉声」 / 米国のCD市場の変化とCCCD / 音質?デザイン? / 機械の音のリアクション / 3D音響のトラッキング付き配信(ヘッドホンの立体音響, ヘッドトラッキング) / 地上デジタルTV 開始とInter BEE

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20

CDを再生できないCDプレーヤー CCCD(Copy Control CD) / 音質は確実に落ちている? / 手軽に音響測定 / アカデミー音響賞、音響効果賞 / デジタルTVの双方向性 / テクノロジーと本質の視点( デジタル・オーディオは高音質か? ) / PCMはCDと同じ? / デジタルアンプの時代( デジタルアンプのコンシューマ化 ) / オーディオ機器への音楽配信 / 家庭の音場補正

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10

デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」

サウンドコラム 音響関連イメージ

サウンドコラム 音響測定編

音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性

「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。

サウンドコラム 音響測定編

サウンドコラム 音響測定編 音圧分布

音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ

サウンドコラム 音響測定編 周波数特性

周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生

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Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

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