このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
今月(2004年9月掲載時)のEDN Japanのdesign featureは「D級アンプが第3世代に突入」という記事でした(EDNは電子産業エンジニア向けの雑誌です)。 EDNの記事は開発者が対象なので、半導体やモジュールなどについての記事です。
▼EDN Japan 最新号(2004年9月号)目次
「D級アンプが第3世代に突入」のリンク先掲載されています。
http://www.ednjapan.com/content/issue/index.html
一般向けには、あまりD級アンプという呼称を使わなくなりつつあるように思います。A級、B級、AB級に対してD級というと品質ランクで相当劣るクラスのように誤解されるからでしょう。
このコラムでも今までにデジタルアンプ(D級アンプ)のAV家電の搭載の話題を何回かしていますが、この1、2年でAVアンプのハイエンド商品でもデジタルアンプが採用され、コンシューマ向け商品のパワーアンプはデジタル化が主流になって来ています。
デジタルアンプは、電力の損失が少なく小型化できる点に特徴があります。MDウォークマンやMP3プレーヤーなど携帯機器のバッテリー時間を伸ばすための製品や、薄型TVなど省スペースの筐体にアンプを収める必要があるAV製品などを中心に搭載されています。
今回から数回、デジタルアンプとデジタルスピーカ、信号処理などについて少し集中して続けたいと思います。
TVなどはスペースファクターの他に省電力化設計のためにもデジタルアンプにする必要があるのだろうと思います。
最近のデジタルアンプ搭載と薄型TVに関する記事ではもっぱら省スペースが語られますが、省エネ法の民生特定機器に「テレビジョン受信機」は含まれていますから、消費電力、待機電力を節電する必要があります。
▼経済産業省 資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/
▼財団法人省エネルギーセンター
http://www.eccj.or.jp/
ここ数年(2004年9月掲載時)、発電所の事故やCO2排出削減など、新エネルギー問題と省エネルギーが注目される機会がありますが、資源エネルギー庁の施策の影響がAV機器のデジタルアンプ化にも影響しているかもしれません。
現在の特定機器の区分では、プラズマテレビ、液晶テレビ、DVDレコーダー、HDDレコーダーなどは対象外なのですが、対象に追加することが検討されています(経済産業省のホームページの「政策を深く調べる」「審議会・研究会」のページにある「資料5 省エネルギー基準に係る進捗及び今後の予定(案)」というPDFで発表されています。大量の文章があるので見つけるのは大変ですが……)。
▼経済産業省
http://www.meti.go.jp/
DVDレコーダーのカタログを見ると消費電力の注意書きなどで「VTRの省エネ法に定める計算式による待機消費電力……」などと記載されていますが、対象外なので、適用のためというわけではなく算出条件を合わせるためということですね。
最近、デジタルアンプを搭載した高級AVアンプが相次いで発売されています。
AVアンプの場合には、高出力のパワーアンプを多チャンネル搭載しているので、消費電力やスペース(筐体サイズ)も大きめですが、筐体サイズは、背面の接続端子が支配的ですから省エネやスペースよりも、フルデジタル化のためにデジタルアンプが採用されています。
スピーカはアナログなので、アンプの出力はアナログですが、入力から最終出力段のパワーアンプ部までをデジタルのままにすることが可能になりますから、デジタル信号を生かしたハイファイ化ということも可能になります。
アナ デジ デジ アナ
ログ┏━━━┓タル┏━━━┓タル┏━━━┓ログ┏━━━┓
−→┃A/D┃−→┃DSP┃−→┃D/A┃−→┃アンプ┃→
┗━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━━┛
デジ ↑
タル┏━━━┓ ←ここを ←−− ここを −−→
−→┃D/A┃ 直接DSPに デジタルアンプに
┗━━━┛
以前は、デジタル入力をプリアンプでD/A変換してアナログ信号を他の入力とスイッチしたり増幅するというような方法が取られていることが多かったわけですが、最終出力段をデジタルアンプにするとデジタルの入力信号をそのまま扱うことができ、デジタルのメリットを最大限生かすことができる可能性があります。
音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記
「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。
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