このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.36〜vol.64(2003年8/21〜2004年11/18)に音響と開発の関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
Intelの新CPU(2004年2月掲載時)コード名"Prescott"がリリースされました。
報道サイトでも随所で記事が掲載されていましたので、ご存知の方も多いと思います。
▼米インテル、90nmプロセス採用のHTテクノロジ搭載
Pentium 4-3.40EGHzなど6製品を発表
ASCII24 ニュース/テクノロジー/デバイス 2004年2月3日
http://ascii24.com/news/i/tech/article/2004/02/03/648038-000.html
▼インテル、新たに5種類のPentium 4をリリース
CNET Japn 2004年2月2日
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20064063,00.htm
Pentium 4として販売されますからPrescottなのか従来のPentium4なのかはパソコンのスペックなどでは解りにくいかもしれません(クロックの表記が異なります)。
同一のクロック速度のPentium 4として2種類のCPUが共存するため、搭載されるCPUがどちらかということを重視される場合には注意が必要です。
Prescottという新CPUで新しくなる主な部分は次の点です。
早速、Prescottのベンチマークについては……
▼Prescott、ベンチマークテストで落第
CNET Japn 2004年2月3日
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20064117,00.htm
▼MYCOM PC WEB 2004年2月4日
「【特集】Prescottの実力を検証する」という詳細記事があります。
http://pcweb.mycom.co.jp/
NETの記事は、海外のZDNetのベンチマークを紹介しているものですが、「概ね処理速度が遅く、また発熱量も多くなっている」,「Intelの新しいチップは通常、登場時には同一クロックスピードの前モデルより処理性能が低いからだ」などと厳しいものになっています。
MYCOM PC WEBのベンチマークでは、コメントは穏やか目のコメントですが、PCMark2002のテスト結果は、CPU Detailでは全てに完敗という状況で、他でも性能が劣っているケースが目立つようです(MPEGでは成績が良いです)。
確かにおなじみの新CPUが従来CPUより性能が出ないと見えるかもしれません(Pentium-Mの高成績は忘れられているかも)。
Prescottで性能を出すソフトウェアは、キャッシュの増量の恩恵の強いものと、パイプラインでのペナルティ発生の少ないもの(力仕事タイプ)、そして、今後登場するSSE3対応やPrescottにオプティマイズされたコードを持つものということになりそうです。
imul命令のレイテンシが改善されたとなっていてimul命令(整数乗算)はコンパイラでもそれなりに利用される命令でますから、この部分についてはわずかに性能向上するのでしょうが、平均的なレイテンシの性能が出ないようなのでマイナス分の方が大きいようです(レイテンシの大きい命令の使用については、Intelのマニュアルでも、他の命令を代替しろと推奨してきましたので、使用頻度は低くなっているかもしれません。imul命令は、登場時から早くなったり遅くなったりする命令の1つですね)。
パイプラインが、31段と大変に深くなっているので、その影響が強く出ているようで、先に発表されている今年中(2004年2月掲載時)に4GHzのクロックを実現するためのものでしょうから、性能は、クロックの高速化によって賄うというPentium 4の性質をさらに推し進めたCPUともいえます(パイプラインの段数を増加するとクロック速度を向上させやすい)。
▼パイプライン【pipeline】
e-Words IT用語辞典
http://e-words.jp/w/E38391E382A4E38397E383A9E382A4E383B3.html
現在PCのソフトウェアを開発する上でパフォーマンスのための最適化を図るとき、大きく分けてPentium 4と、Pentium III系のCeleron、Pentium-M,そしてAthrionを考慮する必要があります。
各CPUでの最適なコードは異なるため、最適化が必要な場合には、悩ましい問題となる場合があります(最適コードが、別のCPUではかえって性能が劣る場合があるので)。
新Pentium 4 Prescottも傾向が異なるため、新たにPrescottのことも考慮に入れる必要があるかもしれません。
もっとも、同一クロックで性能が出ない分はクロック速度の向上でカバーする部分が発揮されるのだと思いますが……
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