このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
CDのピットというデータを記録面に生成している孔の形状や長さ、ドライブの検出方法などによって、誤り訂正の発生頻度が変化し、誤り訂正が機能するので100%正常なデータが再生されていても、アナログの音質には違いが出るとメーカーの方が共通に仰っているというところまで前回お話しました。
そこで、誤り訂正されてデジタルデータとしては100%正常な信号が出力されても、アナログ信号に違いがでるのは何故かという大変興味深い問題があります。
CDは盤面にレーザー光線を照射して盤面に反射された光をピックアップで検出してデジタル信号を再生していることは、よくご存知かと思います。
ピットは、盤面の模様のように見える部分の極小の穴のことです。
ピットの穴はレーザーを反射しないので、この穴の大きさ(長さ)を検出することで記録されたデータが再生されます。
誤り訂正は、盤面の傷や何らかの理由によって、ピットの大きさやデジタル値を正しく検出できなかった場合にデジタル的に、前後のデータや、あらかじめ埋め込まれた補助データによって正しいデータを算出して復元する技術です。
キズなどで、補正不能に陥る場合もありますが、ご存知のように大変優れた訂正能力を有しています。
光の記録読み取りで、誤りが検出されると、誤り訂正の回路、サーボモーターコントロールが作動し、ドライブの消費する電流に変動が発生します。
電源の負荷が変動するため、D/Aコンバーターや以降のアナログ信号部の電子回路に影響が出て結果として、再生信号の品位が低下するということらしいです。
これが、CDプレーヤー、CD、CD-Rドライブのアナログ性能としての差になっているということです。
CDドライブのメーカーさんが仰っている内容も、マスター制作スタジオの方が仰っている内容も、おおよそ共通していますから、専門家の方々での認識は共通していると判断して良いかと思います。
ピットの形状など、誤り訂正が発生する頻度を減少することで、ドライブやCDマスターがプレイヤーで再生した時のアナログ性能を向上するようにしているとのことです。
デジタル記録のCDやDVDなどのドライブを選択する時、正確にデジタル再生できるため、アナログ部分の性能や機能、デザインだけではなく、誤り訂正まで含めたトータルな音声や映像の出力性能を評価するという視点が必要となります。
メーカーさんでは、パターン信号などによって工学的に性能評価することはできますが、ユーザーは、多分、アナログ・Hi-Fiオーディオの評価に近い官能的な評価方法でしか評価できないのではないでしょうか。
もっとも、ハイエンドのシビアな音質を重視した場合だけの話になるかと思いますが...。
今回は、前後編でCDの誤り訂正の部分と音質について、少しだけ書いてみました。詳細にすると毎回これだけになってしましますので、またの機会に...。
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「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
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