このページは、振動ユニットBassShakerをご利用いただく上で、少し応用的な内容やご利用法の工夫に対するヒントとなるようなタームについてご案内いたします。 基本的な接続方法やご注意などは、「基本的なご利用方法」のページにご紹介していますので併せてご覧ください。
BassShakerの共振周波数は、40Hz(取り付け方向によって1,2Hz変化します)です。 一般に低音とされている低音楽器などの音であっても、これよりもう少し高い周波数が基本周波数になっており、倍音成分としては含まれていても、それほどマッチしているわけではありません。
特性グラフをご覧いただくとお解りいただけるように、共振周波数を中心に強く反応する幅は割と狭くなっていますので、フィットした周波数で無い場合には、それほど強く振動しません。
AVの低音部分をそのまま利用してご利用いただく場合には、効果音などのサブウファー出力(低音)が効果的に含まれていることを期待するしかないのですが、 信号を加工したり、専用の信号を作ってご利用いただく場合には、この特性に併せてご利用いただくことで強い振動をさせることが可能です。
ARIの事例で紹介している案件の信号は、合成したり加工した信号を利用していますので、ピークレベルの強い振動で動作しています。
元の音源の周波数をリアルタイムに変換してピークに近づける方法は、楽器用のエフェクターなどに搭載されているピッチシフターを利用します。 ピッチシフターは、名前の通り、周波数(ピッチ)をシフトする機能のエフェクターです。
例えば、80Hzの音源をそのまま入力すると、80Hzの早い振動でやや弱い振動になりますが、1オクターブ周波数を下げで40Hzにした信号を入力すると、共振周波数のピーク出力で、速さも40Hzで振動させることができます。
ピッチシフトを利用する場合には、100Hz以上の周波数の効果音を2〜3オクターブ下げてからLPF(低域通過フィルタ)を通すことで振動信号として利用することができます。
ピッチシフターで大きく周波数を変化させると音質としては劣化した音になりますが、振動用の信号としては差を体感できませんので、周波数の関係だけに着目してピッチシフトして良いかと思います。
ピッチシフトは周波数を変換するものですが、オクターバーは、オクターブ下の低音の倍音を作る簡単な回路のエフェクターです。
オクターバーは、デジタルのピッチシフターが登場してからは、ポピュラーな存在ではなくなりましたが、オクターバーをお持ちの場合にはオクターバーで低音を作る方法があります。
オクターバーの場合も、ピッチシフターと考え方は同じです。
ここまでは、周波数特性に着目した加工として周波数を下げたり作る方法でしたが、レベル(音量)を加工し振動効果を変化させることも考えられます。
順序が逆転した感がありますが、最もオーソドックスで基本的な加工方法としてイコライザによって、特定の周波数(この場合低音)のレベルを上げる(下げる)方法があります。
周波数が低く、帯域が狭いので、グラフィックイコライザは適していません。 パラメトリックイコライザを急峻にしたものでないと利用できないことが多いかと思います。 廉価なエフェクターに搭載されているイコライザ(PEQ)は、-12dB/octなど急峻な特性にできない場合があるのでご注意ください。
コンプレッサーは、音を非直線にレベル方向に引き上げて、中間レベルを大きな音量になるように変化させるエフェクターです。
コンプレッサーを利用することで、強い信号レベルに強調することができます。
ノイズゲートは、一定以上の音量の音だけを通過させ、低いレベルの音を無音にする信号のゲート(門)を行うエフェクターです。
元来、ノイズを目立たないようにする目的で誕生したものですが、小さい音量をカットするような応用的目的でも利用されます。
入力している信号にある程度の低音が含まれている場合(AV音声など)、弱いながら、常に振動しつづけている状態になります。 これを、微弱な振動をさせず一定以上の低音が存在時にのみ振動するようにする目的でノイズゲートが利用できます。
元の信号が比較的短い場合に、ロングタイムのリバーブによって、低音の残響を作り、コンプレッサーで強調、ノイズゲートで適度にカットするような方法があります。
これは、いわゆるゲートリバーブです。あまり応用範囲が広い加工方法ではありませんが、ゲートリバーブで短い信号を時間方向で強調することでレベルを引き上げたような効果になります。
共振周波数に対してピーキーであるということは再三ご案内しましたが、周波数をスイープ信号のように変化させると、振動の強さが極端に変化するということにもなります。
周波数特性から、速い周期と30Hz以下の遅い振動は強い振動は発生しないように見えますが、「ゴトゴト」というようなゆっくりした振動の方が、周期性のある高い周波数の振動より、体感システムには適していることが多いことは想像いただける通りです。
では、どのようにしてゆっくりとした振動を実現するかということになりますが、 弊社で作成する信号の場合には、短い時間で周波数スイープさせる方法か、断続的に目的の周期でピーク周波数を出力するような方法を取ります。
実際に出力している周波数は、ゆっくりとした周期ではなく共振周波数ですから共振周波数で振動しますが、取り付けたシートでも変調されるため、低周波周期の変調波が発生したような状態になります。 また、強い振動が発生する周期が「ゴトゴト」という周期になるため、体感上は「ゴトゴト」と振動しているような状態になります。
ピッチシフターを利用して中低音域の音を使って振動させる方法をご紹介しましたが、そもそも、中高音域の音しか無い信号の場合には、ピッチシフターであっても適切な周波数の信号を作り出せない場合があります。
このような場合には、楽器音源と音声トリガーを用いて、音声が入力された時にトリガー(ON)にして楽器によって振動用の信号を発生させる方法が考えられます。
トリガー発生する方法には、サンプリング音源の機能を使う方法やキートリガー発生用の機材を使う方法があります。 ある程度機材の知識を要し、特定の機材でしか実現できませんが、キートリガーによって、ピーク振動を発生させる方法もあるということだけご案内します。
ここで紹介した信号の加工は、多くが楽器用のエフェクターで実現する方法です。 楽器用のデジタルエフェクターは、ご紹介した機能複数を1台で実現できる場合が多く、価格もそれほど高価ではありません。
オーディオ信号を用いるBassShakerは、オーディオ用の機器以外に楽器用のエフェクターなども利用できるため、簡易で安価に振動システムを実現することができます。
ハイパワー振動ユニット Bass Shaker ACT-50-4
振動ユニットご利用案内 基本的なご利用方法
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応用とご利用上のヒント
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振動ユニットをご利用いただく場合の接続やアンプなど基本的な内容と応用的なご利用案内になっています。 他にいただいたご質問の代表的なものを「FAQ / よくあるご質問と回答」のページに掲載しています。 お客様にご利用いただく場合にご案内しているような内容をまとめましたのでご利用ください。
「ご注意いただきたい点」のページは振動ユニット特有の内容がありますのでオーディオ機器の知識のある方もご覧いただければと存じます。
ARIはAURASOUND社プロ音響製品の取り扱い代理店です。 製品に関するお問合せ、振動ユニット BassShaker、スピーカーユニットの販売、お見積等、お申し付けください (個人のお客様への通信販売も承ります)。