組込みCPUのメモリアクセス1

ソフトウェア開発コラム:プロジェクト初期のツール評価【06】
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組込みCPUのメモリアクセス1

コラム:プロジェクト初期のツール評価【06】
06

このページは、ソフトウェア、機器組込みのエンベデット・ソフトウェア(ファームウェア)の開発に関連したコラムのページです。このコラムはメールマガジン「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」で連載していた技術・開発コラムを再編集したものを掲載しています。

前回までは、コンパイラの生成コードの評価の具体例として型変換と暗黙のライブラリについてでした。今回は、メモリアクセスについての対応コードです(メモリアクセスとは、プロセッサからメモリを読み書きすることです)

メモリアクセスとアーキテクチャ

DSPやCPUの中には、メモリやスタック、メモリアクセス方法などに特殊な条件を持つものが多く存在します。

スタック / STACK

FILO(First In Last Out)といって、最初に記憶したデータが最後に、最後に記録したデータが最初に読み書きされるアルゴリズムをスタックと呼びます。

(A + B)×(C + D) という計算では、A+Bの結果を一時的に記憶し、C+Dの計算をして、先に計算して記憶している(A+B)の結果と加算します。

このような計算処理などで一般的にスタックが利用されます。順次記憶したものを逆順に取り出すという性質は利用頻度が高いため、様々な部分で利用されます。

大半のプロセッサは、ハードウェア的にスタック専用の機構をが用意されており、コンパイラは、このスタックを計算処理の一時記録メモリとして利用したコードを生成します。

  ▼「スタック」ASCII 24 デジタル用語辞典
  http://yougo.ascii24.com/gh/19/001988.html

パソコン上で動作するプログラムコードを生成するためのコンパイラのカスタマイズ版であったり、スタートアップコードやライブラリなどを変更して行うクロス開発の場合、特殊用途のメモリアクセスについては生成コードを意識したコーディングが必要となります。

少しだけメモリ関連の特殊な例を上げてみたいと思います。

  1. DSPの係数、リングバッファ用オンチップメモリ
  2. バンクメモリ
  3. オンチップメモリとして利用も可能なI/Oやレジスタ
  4. マルチチップのシェアードメモリ
  5. メモリマップドI/O
  6. 定数をコードに持てないプロセッサ
  7. スタックを持たないプロセッサ

他にも色々ありますが、組込系、ワンチップマイコンやDSPなどでは、上に揚げたような点が代表例になるかと思います。

簡易用語案内

方言を沢山使ってしまったので、簡単にご案内します。解りやすくではありませんがご容赦を...(^^;

  • スタートアップコード
    起動時の初期設定コード
  • 係数
    信号処理演算に利用する定数など
  • リングバッファ
    輪のように連続したイメージでの記憶方式のメモリ
  • オンチップメモリ
    プロセッサの内蔵メモリ
  • バンクメモリ
    バンクという単位で切り替えて管理する方式のメモリ
  • シェアードメモリ
    複数のプロセッサや、ハードウェアの間で共用されるメモリ
  • メモリマップドI/O
    プロセッサのI/Oをメモリアクセスで実装する方式
  • ワンチップマイコン
    シリアルやタイマ、パラレルI/Oなど周辺I/Oをワンチップ化したマイコン、CPU
特殊なプロセッサとメモリアクセス

パソコンのプログラミングのみ経験のある方は、[7]のようにプロセッサがスタックを持たないのは考えにくいかと思います。スタックを持たないプロセッサは、小規模のコード利用を前提に考えられたプロセッサなどに見られるものです。

このような場合、通常、コンパイラを利用せずアセンブラでコードを作成するのですが、中には、このようなプロセッサを使いながら、ある程度大きい規模のプログラムを作成するためにコンパイラが採用される開発プロジェクトもあります。

スタックを持たないプロセッサの場合には、スタックを利用して作成される自動変数などを使わずに効率的にメモリを利用しなければならないのでプログラム全体のメモリ利用効率を最適化する必要が生じます。

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ソフトウェア開発コラム : 技術・開発の閑話

ソフトウェア開発と開発ツール関連の雑記

機器組込みのエンベデット・ソフトウェア(ファームウェア)の開発に関連したコラムです。 メールマガジン「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」に連載していた技術・開発コラムを編集掲載しています。

技術・開発の閑話 :ソフト開発コラム

技術・開発の閑話 : ソフト開発コラム

01ファームウェア(組込み)開発の技術
コラム:技術・開発の閑話【01】
02デバッギング・ミステリー
コラム:技術・開発の閑話【02】

開発ツールの話 : ソフト開発コラム

01ソフトウェアの分類
コラム:開発ツールの話【01】
02CPUとDSPのアーキテクチャの違い
コラム:開発ツールの話【02】

プロジェクト初期 ツール評価 : ソフト開発ツールの話

01プロジェクト初期のツール評価
プロジェクト初期のツール評価【01】
02プログラムの動作・ソースの作成
プロジェクト初期のツール評価【02】
03コード生成 アセンブラ、コンパイラ
プロジェクト初期のツール評価【03】
04型変換を伴う式評価(コード生成)
プロジェクト初期のツール評価【04】
05暗黙のライブラリ(コンパイラ生成コード)
プロジェクト初期のツール評価【05】
06組込みCPUのメモリアクセス1
プロジェクト初期のツール評価【06】
07組込みCPUのメモリアクセス2
プロジェクト初期のツール評価【07】
08組込みCPUのメモリアクセス3
プロジェクト初期のツール評価【08】
09コード生成〜デバッガ
プロジェクト初期のツール評価【09】

デバッガとICE ツール評価2 : ソフト開発ツールの話

01CPU,DSPの内部の状態モニター
コラム : デバッガとICE【01】
02プロセッサ周辺のモニター(メモリ、I/O)
コラム : デバッガとICE【02】
03実行の停止(ブレーク機能)
コラム : デバッガとICE【03】
04シングルステップ実行
コラム : デバッガとICE【04】
05任意部分の実行(および再実行)
コラム : デバッガとICE【05】
06ヒストリー - 実行トレースとコマンド
コラム : デバッガとICE【06】
07各種ファイルのロード、セーブ
コラム : デバッガとICE【07】
08シンボル化(読み込み、設定、編集)
コラム : デバッガとICE【08】

技術・開発の閑話 -2-

ソフト、ハードウェア 技術関連の雑記

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」 vol.36〜vol.64(2003年8/21〜2004年11/18)に 音響と開発の関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

技術・開発の閑話 -2- :技術開発コラム

技術・開発の閑話-2- vol.11〜20

F1とコンピュータ技術 / ソフトウェアの標準と部品化 ( 戦術と戦略の誤解 / アジャイル開発 / リファクタリング / 遺産と再生産 / 標準と生産管理 ほか)


技術・開発の閑話-2- vol.01〜10

「ありえない」フェイルセーフと安全機能の連鎖 / HDD容量の差(天使の分け前) / リアルタイムとベストエフォート / エラーとコスト(ブルースクリーン/XP) / NDAと情報公開 / 専門ドメインの基礎範囲 / NHK技研公開(超高精細映像システム)

≪ 技術・開発の閑話 :技術・開発コラム ≫
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