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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.55】2004年7月1日
□ HDオーディオついに登場
□
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□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。
■□■□■ CONTENTS Vol.55 □□□□□□□□□□□□□□□■□
1.技術と開発の閑話(20)
ソフトウェアの標準と部品化 -2-
2.サウンド(52)
テクノロジ・セミナーのこと -3-
3.3GPP音声通信(48)
PDC規格 - 第二世代携帯電話
4.HDオーディオ登場(URLクリッピング)
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■1.技術と開発の閑話(20)
ソフトウェアの標準と部品化 -2- 戦術と戦略の誤解
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技術や開発に関連した話題を閑話と題してお届けしています。あま
り専門的ではなく技術者以外の方にも接点のある内容にできればと
考えています。
前回につづいて、ソフトウェア開発に関連した標準指向や部品化に
ついての話題です。今回は、なぜ、今さら、部品化と標準化を話題
にしようと思ったのかを述べてみたいと思います。
▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
http://www.ari-web.com/mm/
ここ数年で、ソフトウェアの標準化や部品化に関わるムーブメント
は、表層的には標準化の動きが大きく、また激しく変化しており、
実装を伴う部品化はオープンソースのような形では現れることがあ
るものの、表面的には沈静しているといえます。
1つに、前回述べましたように、プラットフォームや開発言語など
が変化しているため、実装レベルでのソフトウェア部品が即物的に
は意味をなさないことに起因しているかと思います。
また、それによって、デザインパターンやXP、UMLなどのように
コードの実装ではなく、設計レベルのもう一段抽象化された手法な
どがその役割を担うものとなり、実装上の共通化については、標準
化(もしくはプロジェクトの共通のプラットフォーム)の過程に組込
まれれるようにという形にシフトしてきているのだと認識していま
す。
前時代的なソフトウェア部品というのは、実装コード自身を指し、
部品化することによる品質と開発効率の向上が「戦略」であるかの
表現がなされていましたが、現在は、「戦術」として実装コードの
共通化や部品化が行われるとしても、以前のようにメンテナンスと
管理さえ怠らなければ、絶対的に有用なコードとなると考えて部品
化されているわけではないと思います。
プラットフォームが変化したり、標準基盤や開発手法が変化すると、
実装コードのライブラリ部品は必ずしも軽いメンテナンスで利用す
ることが困難な部分が少なからず発生します。
実装部品化や共通化は、開発プロジェクトを遂行する戦術としては
絶対的に有用であっても、中長期的にリーズナブルにメンテナンス
する手法や将来のプロジェクトに有用であるとは限りません。
近年、開発手法や分析など実装以上のレベルでのドキュメント化や
開発手法の標準化などを技術資産として「戦略」的な捕らえ方をし
ている説を目にすることがあります。
これも手法に過ぎないため、「戦術」であって開発上の「戦略」で
はないと思いますが……
開発手法が変化すると、末端の実装コードの作成方法などは、劇的
に変化します。従って、ソフトウェアの部品化や開発手法の「戦術」
も、将来性や中長期的にというのではなく、短期的にコストに見合
う手法という観点を持つことが重要であると考えています。
PCのソフトであれば、MS-DOSの時代にはMS-DOS用のライブラリ
を、WindowsではWindows用のライブラリを、さらに32bitに、MFC
にATL対応に、COMに…そして、Java、Perlでと忠実に作っていた
人がいました。そして.Netの仕事をするので、それらを即物的には
利用できてはいない……
だから、UMLのモデリングやXMLドキュメントでといっても、基本
的なプラットフォームや要件が違うので、程度問題であって、それ
を「戦略」的に捕らえれば同じことの繰り返しです。
ソフトウェアの部品化は、プラットフォーム・サイクルの短命化に
伴って有効な期間が短くなってきていると思います。今後の動向ま
では予見できませんが、実装コードやリソースを溜め込んで再利用
する手法を守れば良いという状況ではないことは明白です。
それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
▼ARIはアプリケーションソフトやデジタル機器の開発などを
お手伝いしています。
http://www.ari-web.com/develop/index.htm
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■2.サウンド(52)
テクノロジ・セミナーのこと -3-
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このコラムは音や音響機器などについての話題をお届けしています。
前回に続き、「DSP & FPGA デザイン・ワークショップ」の講演で
の内容と感想の最終回です。
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■講演 (音声コーデック、音響コーデック、着メロ)
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各セクションとも方式の説明、時代の変化点についてをイントロ
として、本題は開発上の問題点とその解決方法についての解説と
いった構成としました。
■音声コーデック
音声コーデックについては、主流であるCELP方式を説明するため、
原型であるLPC方式、PCM方式からLPC方式にいたる技術の変遷と
CELPに対して更なる改良を加えられた LD_CELP,CS_ACELPの発展
と違いについてお話しました。
音声コーデックの実装は、多くの場合アルゴリズムが固定小数点
で実装されるため、特別な実装や設計の話題が少なく、概略説明
に留まり、簡単になりすぎるかと危惧しましたが、基礎的な説明
に時間を要したため予想していたよりも時間が長くなりました。
■音響コーデック
音響コーデックについては、MP3やAACに見られるDCTを
べースにした方式を取り上げて説明するため、音声コーデックと
の違いや、なぜそのような方式が採用されたのかなどについて、
導入部でお話しました。
プログラミング上のテクニックについては、主に高速化手法に関
する内容ですが、実行速度向上のために行うアルゴリズムの改良
については、業務上の秘守事項に抵触しないようにする配慮が必
要なため、残念ながら一般論に留めることになりました。
一般論の範疇で高速化の手法を論じると、プロセッサの依存度が
高くなってしまいます。講演では、キャッシュメモリなどによる
PCと組込みDSP上でのコーディング方法の違いばどをお話し
しましたが、講演で解りやすくまとめるというところには至らず、
うまく伝えることができなかったかも知れません。
ここで「残り時間30分」の合図となりました。
少し時間が不足気味ですが、編集長の助言を思い出し、時間を合
わせるために早口にならない様に心掛けました。
■着メロ
着メロに関しては、DSP処理による音源部分、音が出るまでの
一連の流れと演奏シーケンスとMIDIに言及する内容としまし
た。このセクションはアドリブでも時間調整しやすい部分だと感
じていたので、残り時間に対する不安もなく講演することができ
ました。
DSP処理の音源の場合、主要な実装は、補間器と積分器なので
プログラミングのテクニックについては凡庸な技術的な説明にな
るため割愛し各部の機能についての解説に重点を置きました。
着メロのような機能の場合には、演奏データによる負荷の変動が
音声コーデックなどと比べてはるかに大きいことが開発上、問題
となるのですが、その解決策として聴感上問題のないように処理
配分する、一言で言えば聴く人をごまかすことであるので「いい
加減なことをやってるな」といった誤解を受けないよう、言葉の
選択に注意しました。
このセクションの話が終わりに近づいた頃、タイムキーパーの方
から「おわり」の合図がありました。タイムキーパーの方は残り
時間が大丈夫か心配そうにご覧になっていましたが、スライドの
最後のページ「まとめ」を出すと、安心していただけたらしく戻
って行かれました。
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■講演終了
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最後に、ここまでで開発上の問題点とその対策について、お話し
た3つのパターンを再度まとめて講演を終了しました。
講演中は受講者の方に伝わっているかなど、リアクションなどを
窺っていたのですが、当然ながら大きなリアクションなどあろう
はずありません。最後まで静かに聴いていただけたということで
講演デビュー合格ということにさせていただきたいと思います。
今回、貴重な体験の機会を与えて下さったCQ出版 中山編集長、
関係者の方々、ならびに貴重なお時間を割いて受講していただい
た受講者の皆様に感謝いたします。
………………………………………………………………………
Vol.53から「DSP & FPGA デザイン・ワークショップ」の感想を
続けましたが、次回からは、また、音と音響に関するコラムに戻
る予定です。
それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
http://www.ari-web.com/mm/
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■3.3GPP音声通信(48)
PDC規格 - 第二世代携帯電話
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2004年度4月の移動電話国内出荷実績が(社)電子情報技術産業協
会JEITAの統計情報で発表されました。移動電話国内出荷数量は前
年度比80.7%と4ヶ月連続のマイナスとなっています。
携帯・自動車電話は3,454千台、前年比83.6%と4ヶ月連続のマイナ
スを記録しています。公衆PHSは前年比17.4%と依然としてに低迷し
ています。
▼統計資料-2003年度移動電話国内出荷実績に掲載されています。
(社)電子情報技術産業協会 JEITA
http://www.jeita.or.jp
JEITAは移動電話の人口普及率が高くなり、携帯電話の新規需要が
見込めず買替需要に依存しているためとコメントいています。
買替需要は比較的校長なようなので第三世代携帯電話は契約数も上
昇傾向にあります。今後は第三世代特有のサービスや機能の充実化
による本格的な需要の回復が期待されるところです。
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■PDC規格
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前回はハンズフリー(Hands-free)測定でした。今回はPDC規格
についてです。
▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
http://www.ari-web.com/mm/
PDCとはPersonal Digital Cellularの略で日本の携帯電話に使
われているデジタル無線通信方式です。この方式は1993年より開
始された日本初のデジタル通信方式でKDDI(旧IDO)がcdmaOne
方式によるサービスを開始するまでは、国内のデジタル携帯電話
は全てPDC方式を採用していました。
PDC以前のアナログ方式からデジタル技術を利用した最初の世代
という事からPDC方式の端末を第二世代携帯電話とも呼びます。
現在は第三世代携帯電話が主流になりつつありますが、NTTドコモ
のmovaやTUKAの端末などではPDC方式が継続されています。
PDC方式は日本オリジナルの通信方式なのでGSMや3GPPの様に特に
音響規格が規定されていませんが、ITU-T P313という規格に基づ
いて測定を行うことにより、音響性能を評価する事ができます。
▼ITU-T規格については以前にご紹介しました。
http://www.ari-web.com/mm/bn/20030515.htm
ITU-T P.313はITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)で
規定されたデジタル・コードレスホン、デジタル携帯端末機の音響
性能を評価するための規格で、現在日本国内でサービスされている
第二世代PDC端末の音響性能を評価する上で望ましい測定項目が揃
っています。
ITU-T P.313の音響測定規格には、次の13項目の規格と測定方法が
規定されています。
1.Sending Loudness Rating (送話ラウドネスレイト)
2.Receiving loudness rating (受話ラウドネスレイト)
3.Sending frequency responses (送話感度周波数特性)
4.Receiving frequency responses (受話感度周波数特性)
5.D-factor/Noise Sensitivity (D-factor/雑音感度)
6.D-factor/Sending Sensitivity (D-factor/送話感度)
7.Weighted terminal coupling loss (音響エコー)
8.Sending Idle channel noise (送話雑音)
9.Receiving Idle channel noise (受話雑音)
10.Sending Variation of gain with input level
(送話利得)
11.Receiving Variation of gain with input level
(受話利得)
12.Sidetone masking rating (送話方向 側音特性)
13.Listener sidetone rating (周囲雑音 側音特性)
今回は、項目だけのご紹介ですが、次回から各測定の内容について
お届けしたいと思います。
▼ARIは3GPP,GSM,PDC音響測定に対応した「3G携帯通信開発用
音響測定システム MTA-01WB-S」を開発・販売しています。
http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm
▼PDC端末音響システム 製品概要(MTA-01WB-S)
http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-itut-p313.htm
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■4.HDオーディオついに登場(URLクリッピング)
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WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事か
ら気になる情報や翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアッ
プしてご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週と
いうこともあって新しい記事ばかりではありません)。
■HDオーディオついに登場
PCは今月の新チップセットと新CPUリリースで、ひさしぶりにプラ
ットフォームが大きく変化することになります。
▼Intel、PCでのデジタル放送録画に向けた新チップセット
−24bit/192kHzの「HD オーディオ」にも対応
インプレスAVウォッチ 2004年6月22日
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040622/intel.htm
▼インテル、新チップセットと新プロセッサで
「デジタルホームを実現する」
Cnet Japan ニュース 2004年6月22日
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20069391,00.htm
▼PCI Express対応チップセット
「Intel 925X」「Intel 915G/P」ようやく正式発表
ITmedia 2004年6月22日
http://www.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0406/22/news004.html
このチップセットの変更は昨年から発表されてはいましたが、CPU
ナンバーの採用、AMD互換64bit化など、今年のインテルの変更はこ
れまでとは一線を画する変化となります。
6月22日から各社からハイエンド製品で発売されています。
デスクトップPCに大々的に投入されるのは、秋冬以降になるかと思
います。このチップセットでオーディオ機能は、7.1chサラウンドや
192KHz-24bitフォーマット(内部バス32bit)に大きく引き上げられます。
AC97以降オーディオはCDレベルが標準でサウンドボードや周辺機器
で5.1chサラウンドが実現されていましたが、筐体に端子のスペース
のあるデスクトップでは標準で7.1chが採用されるものが多くなるで
しょう。
ノートPCにもノート用のチップセット投入予定のようですが、出力
を8個持たせるのはスペースから考えると難しいのでコネクタで変換
するなどの方法が必要そうです。また、ノート用のチップセットは、
バス性能やグラフィックス性能を向上するということなので主に上位
モデルの製品に利用されるものを指しているのだと思います。
Windows Media Centerが64bit対応されると、ホームサーバー用のPC
も、RAID0/1のHDDを搭載して、多チャンネルTVチューナーを持ち、
7.1chサラウンドオーディオ出力は当然のようになるでしょうから、
よりリビングPCの姿に近づくことでしょう(発熱は……冬だけに暖房
もついているということでOKでしょうか)。
新チップセットを利用すると7.1chの出力やヘッドホン出力がアサイ
ナブルになり、ソフトウエアで切り替えて任意の出力端子に接続利用
できるようになります。2端子をヘッドホンにして同じオーディオ信
号を出力することや、任意のソースを流すことなどが可能になります。
(サポートは正しく音が出ないなど問題が増えるかもしれません)
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■編集後記
6月23日の産経新聞夕刊1面の見出しに「ゲーセン」という言葉
が使われていたらしいです。
新聞など報道や出版社はそれぞれ各社の用語基準が設けられていて
一般に認知されない言葉や好ましくない表現などを言いかえるよう
なことがなされていますからゲームセンターを「ゲーセン」と呼ぶ
のは一般に認知されている表現ということでしょうか。
ARIの東京技術の事務所の入っているテナントビルは1階がゲーム
センターです。堅い表現の場合には「遊技場」やわらかめに表現す
る場合「ゲームセンター」と地図などで案内しているのですが、
「1Fはゲーセン」で良いでしょうか。
国立国語研究所の「外来語」言い換え提案の第3回目の中間発表が
ありましたが、独自の短縮呼称は対象にならないのでしょうか?
(一応、「スケールメリット」などの和製英語は対象ですが)
「外来語」言い換え提案に従うとSeeds(シード)は種(たね)と言い
換えることになっていて「技術シーズ = 技術の種」と表記するこ
とになっていますので、ちょっと難がありますが……
それでは、次回、2004年7月15日Vol.56もよろしくお願いします。
ARI A&S 編集部
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