【Vol.19】2004年1月号

「ARIアメニティ&サウンド マンスリー」は、 毎月 第4金曜日にお届けしています。 みなさまにお楽しみいただけますよう努力する所存ですので、 今後とも末永くお付き合いいただけますようお願い申し上げます。

19

Amenity & Sound アメニティ & サウンド

Monthly マンスリー
20041月号 CONTENTS

1 .技術・開発コラム

設計と検査

2 .音と音響の四方山

家電AVサーバーとネットワーク
今回は図が乏しい内容になってしまいました。スミマセン
編集後記   配信サービスと停止      2004年1月23日発行

1. 技術・開発コラム 設計と検査

このコーナーは、 ディジタル機器の開発やソフトウェア開発にかかわることなど、 技術・開発に関するコラムをARIならではの観点で お届けできればと考えています。

今月続いているJASのトラブルの事故ですが、新聞記事などによると、 航空会社のメンテナンスではない部分でのトラブルのようですね。 (ARIは航空産業に関係していませんし) 開発の話題として直接関係はありませんが、 設計とメンテナンスに関わる問題として考えてみたいと思います。

設計基準とメンテナンス

この事故に関する新聞記事では、 メンテナンス会社やメーカーの設計問題としながら、 航空会社も日常メンテナンスを見直すべきという論旨の記事もありました。 安全性が重要であることはあらためて議論するまでもありませんが、 この問題は航空機に限らず、 工業製品の設計基準以上の点検やメンテナンスを行うべきかどうか という問題を含んでいると思います。

航空機については専門外ですし、 今回の問題や航空機の安全性について語るべき立場ではありませんので、 ここでは、トラブルの具体的な内容や対策について論ずるつもりはありません。

一般に工業製品が設計されるとき、 出荷時の製造検査や、 組み立て部品の受け入れ検査、 メンテナンス時の検査内容などが、 各種設計部門で設計、指示マニュアルが作成され、 マニュアルに従って出荷検査やメンテナンス検査が行われます。

検査の内容や方法、補修、対策などについては、 サービルセンターやメンテナンス部門からフィードバック改定されたり、 保守サービス部門などの判断によって、 決められた内容以上の検査や交換などを実施している場合もあるとは思います。

今回の新聞の論説は、メンテナンス、 運用サイドで設計、メーカー指示以上の検査をしてでも 安全性を確保すべきという論旨に相当します。 安全性を向上することに対しては誰も異論はないとは思いますが、 検査内容などを独自判断で行うべきなのかどうかは 見解が分かれるかもしれません。

ちょっと余談

BiglobeのJASの事故関連記事が一覧されているページ があるのですが、 自動で構成されているため、関連ニュースに「台湾産ウナギを国産と偽り販売、静岡県が改善指示」 というニュースが混入しています。

記事を見ると、「日本農林規格(JAS)法」 が記載されているため、JASのキーワードで関連記事にされたようですね。

関連ニュースをご覧になりたい方

▼Yahoo!での一連のニュース

JAS機体トラブル

ニュース日々発見された異常が報道されているので、 現在の公式な結果は、国土交通省の結果発表が良いかもしれません。

国土交通省

1月の新着情報の中に 「DC−9−81型機及びDC−9−87型機の一斉点検の結果について」 という発表があります。

運用やメンテナンスの独自判断

製品に問題が発生してサービスセンターで修理を行っていたり、 メンテナンス問題が発生している場合、 その対策として 設計指示やアセンブリ・パーツのメーカーの指示以上の検査や 部品交換を決定する場合もあるかと思いますが、 判断、決定は難しいものだろうと思います(市場での影響やコスト、内容によりますが)

製品やパーツは、気密性が必要であったり、 注油などが非常に厳密にしなければならなかったり、 ほこりなどの異物を排除する必要がある場合などもありますから、 サービスセンターやメンテナンスですべきではない(もしくは、できない)こともあるでしょう。

航空機の場合には、安全性のみならず、 公共性から定期運行を保証したり 適正なコストで提供する義務というものもありますから、 大きなコスト増につながる整備補強や、 需要を満たせなくなる運行数になるような点検をするという判断は、 企業利益と安全性の観点だけですまないため、 難しい問題だろうと想像します(十分に運行便をサービスできない場合も、 また、責任を果たしていないことになるため)

メンテナンスの基準

工業製品の全てのパーツは、 全て経年変化や負荷によって壊れるもので構成されていいます。 内在している寿命や不良の可能性まで勘案して、 設計時に導き出した結論以上の万全な整備レベルを決定することは、 かなり不可能に近い要求といえます。 やはり、出荷検査や整備の内容は、 新たに問題が発見された内容も含めて、 設計や製造段階での基準が重要とになるでしょう。

設計やメーカー指示が無くても検査するということを極論すれば、 ビス1本にいたるまで金属疲労などに対する製造のばらつきの可能性までも 設計データを無視して独自判断するようなナンセンスな状況になりますし、 決して良い結果に結びつかないことは明白です。 基準を改善する必要があるとしても「整備責任で……」 という論説は短絡的ではないでしょうか。

設計時の加速試験などによる強化作、 予防すべき内容については、やはり設計において改善すべきですし、 整備で対応するべき内容であれば、整備を改善すべきであって、 安全のために運用、整備で歯止めをかけるというのは適切ではないように思います。

現在の高度で分業化しなければ製造、 運用できない工業製品は、やはり、 適切な分担での適切な対策とういうことに尽きるのではないでしょうか。

問題の解決

今回の問題は、根本的な原因究明には、 1年はかかるだろうとされていますので、 運用上の対策が必要な問題となりそうです。 欠航による混乱は以前継続しているようですから、 利用者の不便を解消するために早く対処されると良いですね。

それでは、 次回もよろしくお付き合いください。 (^^)

高速不動小数点

ARIは、デジタル機器の ハードウェア開発、ファームウェア開発、音響システム開発 などをお手伝いや、 マルチプロセッサ搭載のDSPボードなどを開発しています。

▲CONTENS

2. 音と音響の四方山 家電AVサーバーとネットワーク

音と音響の四方山 このコーナーは 音や音響についてのコラムをお届けしています。 あまり指向を決めているわけではありませんので 雑多な感じになりますが、 お付き合いいただければ幸いです。

IT、AV系などのニュースサイトに 1月8〜11日に開催された2004 International CES のレポート記事などが一通り掲載された感があります。 インプレスAVウォッチに笠原一輝氏の 「笠原一輝のユビキタス情報局」 というページでは、「CESで感じたデジタル家電の新トレンド」 と題したデジタル家電に関する記事が掲載されていました。

 ▼インプレスAVウォッチ「笠原一輝のユビキタス情報局」
  CESで感じたデジタル家電の新トレンド」
 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0121/ubiq43.htm

デジタル家電ネットワークとAV

AV、PC系に関わらず、 新3種の神器(液晶などの平面テレビ、DVDレコーダー、 デジタルカメラ)の好調や、 インテル、マイクロソフト、デル、HPなどPC系各社のTVやソリッドプレーヤーなど、 家電分野への進出を受けて、 AV家電とマルチメディアPCのボーダレス化に関する記事は、 先の記事以外でも良く見かけます。

AVサーバーが映像や音楽のコンテンツサーバーになって 無線LANまで含めた家庭内ネットワークに接続され(バイオのように外部に配信もありますが) 端末に配信するというようなモデルが多いと思います。

AVサーバーは、 本当に日本の家庭事情でも サーバー中心の家電ネットワークモデルになるのでしょうか?

実を言うと、よくあるAVネットワークのサーバー中心モデルには 少し疑問を感じています。 デジタル家電ネットワークの姿はAVセンターかというと、 そうでもないように思います。

AV Center

現在の日本の家庭事情を考えると、 大型のTVディスプレイは共有するかもしれませんが、 音楽などのコンテンツ利用は、 それぞれの部屋で個人で利用されるということが一般的でしょう。

端末をネットワークで接続して ファイルサーバーでコンテンツ集中させて共有するというモデルは オフィスネットワークを家庭に応用した形ですから 解りやすいのですが、家庭では、 ファイルを共有する意味があまりないかもしれません。

家族が利用するコンテンツが共有できるか、 圧倒的な性能であれば、中央サーバーは有効ですが、 異なるコンテンツを利用しているだけであれば、 集中している意義は薄れます。

オススメ録画と嗜好性と共有

HDDレコーダーの 検索エージェントにお任せのレコーダーに、 個人嗜好によって利便性を向上させようという物で、 日本でも米国でも人気の録画予約方式です。

ここで、これらを家庭内で共有するモデルを考えて見ます。 お任せ録画で、父親が「ゴルフ」、 息子は「サッカー」と「アニメ」、母親は「ドラマ」などのキーワード予約をしたとすると( もっとキーワードを絞らないとうまく行かないでしょうが) チューナーが不足したり、記録容量が不足する可能性が高いように思います。

仕事で忙しい父親は、 1週間まとめて休日に見るというライフスタイルだとしたら…… そのビデオ容量の占有は、 他の家族の記憶量を圧迫するのでいただけません(お父さんの予約録画は家族の同意を得た限定された番組だけしかダメです。 めんどうなので、 DVDに落としてあげるのは皆いやがってやってくれないかもしれません)。

また、 複数の番組が同時に放送されているために チューナーと録画能力が不足するかもしれません。

家族の嗜好が一致しない場合には、 コンテンツを共有できないので、 それぞれの要求を完全に満たすには、 必要最大チャンネル数のチューナーとエンコード能力と記録容量が必要です。

サーバーで集中して管理していても 人数分の録画機があるのと大きな利点の違いがないことが、 AV家電ネットワークの現状ではないかと考えられます。

ネットワーク接続

なぜ、サーバーなのか、なぜネットワークで接続するのかを、 もう一度考えてみると、「1本のTVをアンテナ」と「1本のネットワーク回線」 をサーバーに接続、端末に回線ルーティングし、 コンテンツはデジタル化して配信するというモデルが 中央サーバーのモデルではないかと思います。

今の所、チューナーとエンコード、録画の性能は、 スタンドアローン端末とサーバーが同程度なので(性能が大きく異なれば別ですが)、 家庭では放送局のようなサーバー設備からの配信ネットワークとは 事情が異なるでしょう。

現在のPCやHDDレコーダーなどの能力を考えると、 必要十分な量の省スペースなサーバーを複数代設置して利用しないと 要求を満たせないように思いますが、 これは、設置方法の違いだけで、家族がそれぞれ、 端末で利用しているのとそれほど違いはないかもしれません。

ノートPCで無線LAN接続して利用するようなサーバーと端末の性能、 特性が異なる場合には有用かもしれませんが、 デスクトップPC同士のような状態では サーバーに利点を見出すのは難しいように見えます。

親子や兄弟で音楽や映像コンテンツを共有しているでしょうか? 共有ソースは非常に限られたソフトなのではないでしょうか。 アンテナを分配して、 個別の端末で自由に利用できるようにセッティングした方が 利便性が高いかもしれないという点は、 家庭のAVサーバーの事情といえそうです。

リソースの共有

リソースの共有という点では、 BSや地上デジタルTVなどチューナーに制限があるものについては 有用かもしれませんが、 これも要求を最大限に満たすには、 最後は人数分のチューナーということになります。 DVDドライブなども同時利用を考えると同様です。

大容量のHDDを共有するということが考えられますが、 家族が公平に利用できるようにしようとすると、 それぞれに割り当てる最大容量を取り決める必要がありますから、 ダイナミックに分配して最大限に生かすいうわけには行かないかもしれません。

コンテンツ共有

コンテンツ共有は、 嗜好性が異なると不可能なことは先に述べましたが、 嗜好性が同じであれば問題がないかというと、 コンテンツホルダーや放送局などは納得しないかもしれません。

コピーワンスのようなポリシーでは、 このような家族の共有にも利用形態に制限を加えるかもしれません。 家族や兄弟ならOKというわけでも、 1つ屋根の下ならOKというわけでもないでしょう(共同住宅はNG……2世帯住宅は?)。

ネットワークの必然性

サーバーに利点があった場合でも、 AVネットワークの場合、 ネットワークでの端末同士の接続は、 あまり利点はなさそうです。 家族同士の端末が接続して利用すると仮定すると コンテンツの共有やコピーに行き着きます。 ネットワークは、 主にスタンドアローン端末とAVサーバーが ピア・ツー・ピアで接続できれば良いだけになりそうです。

白物家電ネットワーク化のように情報化家電製品として接続、 制御するのであれば、ネットワークの意義もあるかもしれませんが、 AV系のサーバー配信モデルはネットワークである必然性が 弱い気がします。 もちろん、集中サーバーを便利に利用する運用方法もありますし、 長期的に見て全てをネットワークで結ぶことのメリットも否定はしませんが、 短期的に配信サーバー型ネットワークを 有意義に利用するという状況ではないように 思うのは何か見えていないファクターが存在するのでしょうか。

それでは、次回もよろしくお付き合いください。 (^^)

ARIは、デジタル機器の ハードウェア開発、ファームウェア開発、音響システム開発音響設計音響測定などをお手伝いしています。
▲CONTENS

  編集後記

 今回は、推敲の時間が少し足らなくなっていしまったので、 配信時間が遅くなり申し訳ありません。

以前にもお知らせしましたが、Pubzineの配信は今回が最後になります。

Pubzine以外のサービスは 利用したくないとお考えの方がいらっしゃいましたら、 残念ながら今回が最後ということになってしまうかもしれません。 今までご登録いただきましてありがとうございました。 ご登録いただいたメールアドレス等は、 全て破棄され、他社に移管などはされません。

もし、他のサービスでも受信しても良いとお考えでしたら、 他の4社の無料配信サービスをご検討ください。 無料のメール配信サービスは広告モデルのビジネスです。 各社広告メールの配信によってビジネスとされていますが、 広告メールを受信しなければサービスを受けられないという形態にはなっていません。 詳しくは、それぞれの利用規約をご覧ください。

1年以上にわたって無料で配信サービスを利用させていただきました Pubzine には感謝しています。

それでは、来月もよろしくお願い申し上げます。

ご意見、ご感想、技術関連のご投稿 など歓迎いたしますので、なんでもお気軽にお寄せください。

※ご感想をお寄せいただきありがとうございます。 全ての方に返信できなくて申し訳ありません。 この場で御礼申し上げます。

▲CONTENS

  配信と配信停止

このメールマガジンは無料メールマガジン配信サービス で配信されています。

配信停止をご希望の方がいらっしゃいましたら、 お手数ですが、登録いただいた各配信元の専用ページか ARIのHTMLメールマガジン登録、解除 のページでご解除いただきますようお願い申し上げます ( みなさまにご登録いただいたメールアドレスはARIでは記録、 収集しておりません)。 各配信サービスの解除ページは次の通りです(Pubzineの配信サービスは2004年2/9で終了です)

無料配信サービスは
Pubzine melma!まぐまぐメルマガ天国 E-Magazine

万一、「解除できない」 「配信サービスがわからない」 「解除方法がわからない」 など解除にお困りの場合には、 ご遠慮なく 電子メール でご連絡ください。

発行/編集 株式会社エー・アール・アイ ARI CO.,LTD.
〒192-0081 東京都八王子市横山町6-9 丸多屋ビル8F
TEL :0426-56-2771  FAX :0426-56-2654
お問合せ : news@ari-web.com
Copyright(C) 2004. ARI.CO.,LTD. All Rights Reserved.