【Vol.7】 2003年1月号 |
「ARIアメニティ&サウンド マンスリー」は、
毎月 第4金曜日にお届けしています。
みなさまにお楽しみいただけますよう努力する所存ですので、
今後とも末永くお付き合いいただけますようお願い申し上げます。
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技術・開発コラム ■ sin,cosの学習(前編) |
このコーナーは、
ディジタル機器の開発やソフトウェア開発にかかわることなど、
技術・開発に関するコラムをARIならではの観点で
お届けできればと考えています。
先日、教育テレビの高校数学講座番組を見る機会がありました。 内容は三角関数の最初あたりです。 正弦(sin)と余弦(cos) を三角関数表を牽いて 三角形の辺長や角度を実数で求めて理解するというような講義内容でした。 自分の記憶と照らし合わせると、 記憶にある数学の授業より格段に丁寧な講義だと思いました。 私の受けた授業では、三角関数の実数計算と三角関数表周りは、 さっと見るだけで予習、復習の範囲として自学の部分として 先に進められた記憶があります (年代や学校、教師によって相当な差があるかと思いますが)。 日常生活での数学ソフトウェアを設計、開発していると、 CADやグラフィックスなどの幾何図形を扱う ソフトウェアの開発に限らず、 音響関係のソフトウェアやDSPによる信号処理など、 三角関数や指数、対数など初歩的な数学を日常的に扱います。(マクローリン・テイラー展開や微積分なども、 学校を卒業した後、 デジタルフィルターの係数計算の近似値を アセンブラで高速に行なうコードを実装するときに 見直したことがありますし... 微積もΣも虚数も全て登場しますね。)
人気の3Dゲームのプログラマーなど、 グラフィックスのための数学に限らず、 シミュレーションのため、色々な物理方程式までも、 ありふれた日常になるでしょう (グランツーリスモのようなレースゲーム以外でも 荷重移動や慣性など出てきます) 。 三角関数さて、三角関数に戻ります。高校の数学では、三角の辺と角度の関係あたりから、 加法定理などまで一気に公式を理解、 覚えなさいというような教育をされることが多いかと思います。 この一環の中に円との関係やsin,cosのグラフなどが 登場するというやり方で角度Θやωなど 次々と記号と公式が登場します。 応用問題などを解けるようにする必要があるため、 小学生の九九よろしく、 記憶と解法テクニック的に進められる 授業になり勝ちなのかという気がします。 (このあたりに不毛だと感じさせる一因があるように思いますが..) 三角関数は、正弦関数(sin)、 余弦関数(cos)など、 弦としての関数と定義され、歴史的にも、 円の弦の性質から開始されて、 直角三角形で考えると便利というところから発生してきたことを考えると、 三角形での定義を覚えるところから入るのではなく、 もう少し深い理解に繋がる方法もあるのではないかと 疑問に思うことがあります。 対数も同様、突然log が現れ、指数との関係や関係定理を理解 (定義されていることの性質を理解するのであって、 対数自体を理解するのとは少し違うように思います)、 記憶し、 式を利用可能にするための知識教育を受けるという構造になっています。 実用と数学最初に話題にしました講座の実数計算は、 角度や長さを計算できるという実用性から ガイドしてゆくということだと思いますし、 非常に丁寧に教えられていました。しかしながら、現代では、 関数電卓やコンピュータなどがありますので、 三角関数表が実用されることは、まず、無いように思います (割と丁寧に表の引き方をやっていましたので)。 もし、実用で訴求しようとするなら、 アークタンジェントなど 幾何計算で便利なところまで紹介したい気もします (さらに、ベクトルの内積、外積などもあるけどね... となってしまいますね。 ベクトルは当分先の課程なのに... 小学生の鶴亀算と中学生の方程式のジレンマのようなものでしょうか) 。 実数計算では、 性質の理解を助けることができるような気もしますが、 「先人が円と弦、角度などの関係や計算方法を...」 と考え、発見や定義、証明を経て三角関数の定義、 公式にいたるというような背景を説明することは、 考え方に触れますし、 公式を覚えるのとは異なる理解力が得られるような気がします。 sinやlogが生まれる歴史や背景から説明するのは、 数学という教科の目指すところではないかもしれませんが、 数学の知識を得るのみではなく、 考え方を学ぶには背景などが必要なのではないかと思います (中学生くらいまでは 公式や定理が生まれる考え方で指導されているように思いますが...) 。 なんだか、教育論のようになってしまっていますが、 続きは次回に (^^;
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音と音響の四方山 ■デジタルとプロの道具 (前編) |
このコーナーは、
音や音響についてのコラムをお届けします。
昨年は、カメラ付き携帯電話がヒットし、 「次は携帯電話機能付きデジタルカメラをカメラメーカが...」などと いう冗談が出るほど一般化しましたが、 同様にデジタルカメラも定着してきて 「それでも銀鉛写真はなくならない」 というアンケート結果を出している報道機関があったほど シェアが大きくなったようです。 デジタルとアナログとこの「銀鉛写真はなくならない」を見て、 なんだか、デジタルオーディオが過去に通過した道をのように感じました。現在では、 オーディオや電子楽器類ではアナログの方が少数派となってきています (廉価なミキサーなどはアナログ主流ですが)。 一昔前(といっても良いくらいかと)、 プロ音響やスタジオなどで、デジタル録音やデジタル・オーディオ、 デジタルミキサーが普及する直前には、 現場のインタビュー記事などでは、音質や制作手法、 コストなどでデジタル化に否定的な意見が散見されました。 また、その当時、「アナログはなくならない」 という意見も目にしたように記憶しています (当然なくなっていません)。
製品開発などで、成長期のデジタル化に立ち会うと、 開発関係者は、 アナログでは出せなかったデジタルらしい音 に新製品の魅力を感じている場合があります。 (欠点も十分承知していますが、 優れた点もよく見えているだけに...) デジタル聡明期には、 技術が未成熟である事も要因ではありますが、 関係者がデジタルの良い点に大きな魅力を感じていることが デジタル臭いキャラクターの製品が登場する 背景に多少含まれているように思います。 デジタル色が強いキャラクターを持つ製品が アナログとの対比において欠点に見える部分も 存在することを否定しませんが、 デジタルによる問題であるかどうかは 別の問題として論ずる必要があります。 デジタルと銀鉛写真デジタルカメラの分野は、デジタル聡明期とはいえないまでも、まだ、 成熟はしていない過渡期にあるかと思います。デジタル写真に対して、オーディオで見られたのと類似している 「色見」や「光」 などに対する意見や、露出やシャッターなどに関する機能に対する 弱点の指摘が見られる現状で、 先の「銀鉛写真はなくならない」を見たので、 オーディオ分野での過去を見るかのような感じを受けました。 先の「銀鉛写真は...」の意見の中に、 「プロの写真でも デジタルカメラは普通に利用されるようになってきているが... 銀鉛写真はなくならないだろう」など、 デジタルオーディオで、 「デジタル化は急激に進んでいるが、 プロの現場ではアナログはなくならない」 と言われていたのとそっくりだと感じました。 印刷業界で、DTPが普及しはじめた時、 「DTPはより多く利用されるだろうが... 写植はなくならない」といっていた人がいました。 皆、言っていることが同じで面白いですね (ただし、DTPは背景が異なるので、 「本当に?」という気もしますが)。 デジタルなプロの道具さて、ここに上げた例などではよく、 「プロの現場では」など「プロの」が条件のようについています。本当に、プロの場合に限って無いといっているような、 プロの意見は、どうなのでしょうか? 本題の「デジタルなプロの道具」ですが...後半は次回にお届けします。 またしても連続物になってしまい申し訳ありません (^^;。
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■□ 編集後記 □■
この号が2003年最初のマンスリー版となります。
昨年同様、今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年、このマンスリー版で少しだけ取り上げた ソニーのヘッドマウントディスプレイ (PUD-J5A)を入手しました。 なかなかページ作成できないのですが、 近日中にホームページに情報を掲載したいと思います (と思っていますが、あまり進んでいません。スミマセン) 。 ファーストインプレッションとしては、 写真で見た印象より外観が黒いことと (写真は現物より明るめのグレイに見えます)、 バランスなどの装着間は好みが分かれるかなと感じました。 ディスプレイ部分がやや重量があり、 見かけが密閉型ヘッドホンのように見える部分は、 開放型で装着固定にパッドがある状態ですので、 バランスは前方重心になります (ディスプレイがあるので、前に重量があるのは当然 ですが、成型品の場合は、 写真などでかなり軽いと想像するためか、 思っていたより前方が重いというのが正直な感想です)。 オリンパスのHMD Eye-Trekが製造中止になって、 市場を流通しているヘッドマウントディスプレイは、 ソニーのPUD-J5Aのみになっています (知らない製品があるかもしれません) ので貴種製品となっています。 それでは、次回、2003年2月号もよろしくお願いいたします。 (^^)
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