【Vol.5】 2002年11月号 |
「ARIアメニティ&サウンド マンスリー」は、
毎月 第4金曜日にお届けしています。
みなさまにお楽しみいただけますよう努力する所存ですので、
今後とも末永くお付き合いいただけますようお願い申し上げます。
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1 | 技術・開発コラム ■工業製品の音響計測 |
このコーナーは、
ディジタル機器の開発やソフトウェア開発にかかわることなど、
技術・開発に関するコラムをARIならではの観点で、
お届けできればと考えています。
音響パワーレベルのJIS規格コンピューターをはじめ、情報家電製品などの工業製品開発において、 快適な生活、人の活動のために、設計している機器の発する騒音の測定は、 重要な要素の1つです。高性能化に伴って、コンピュータや家電製品では、 省エネルギー化、発熱問題と共に、静音設計された製品が人気であるように、 空冷ファンやコンプレッサなどの運転音などの騒音を低下することは、 機能や外観デザインと共に重要度が増しています。
欧米では30年以上前から定着していましたが、 日本でも、特にヨーロッパへの輸出製品に対する音響パワーレベルの測定や その表記の義務付けなどを通じて、徐々にその重要性が認識されて浸透し、 JIS規格ができるに至りました。 音響パワーレベルとは 音響パワーレベルは、一般にも馴染みのある 騒音レベルとは異なるものです。 騒音レベル (正しくは音圧レベル)とは、空間のある特定の一点における 音圧を表していますから、 音源の近くでは大きく聞こえても離れると小さくなったり、 場所によっては反射の影響を受けることがあります。 さらに、人間の耳の特性を考慮したA荷重をかけた dB(A)値やリニアでの測定など基準はさまざまです。 音響パワーレベルは、 音源から放射される単位時間あたりの音響エネルギー量です。 音源のエネルギー量ですから、 測定位置や測定環境による条件の差が生じない量的尺度になります。 工業製品の統一的な音圧の測定方法として距離などを定めると、 製品の利用方法などによって、重要となる人との距離や関係、 条件が著しく異なりますので、 適切な条件というと分野によって基準が異なる条件を 用いることになります。 音圧法と音響インテンシティー法
音源周辺の音圧を平均して音響パワーレベルを算出する 「音圧法」では、 マイクロホンを多数使用しての同時測定が可能であるため 短時間で測定できる ことがメリットですが、 無響室や残響室などの設備が必要となります。 「音響インテンシティー法」は、 特別な測定環境が要らない 代わりに一つのセンサー(プローブ)で測定するため、 時間を要することになります。 無響室や残響室などを使用する音圧法では、 設備も、測定のスキルも必要になります。 各都道府県にある工業技術センター (名称は異なることがあります) では無響室や測定器などの設備を持っていたり、 専門スキルを身に付けた職員が 測定の支援をしてくれるなどの産業支援が行なわれている 場合があります。
静音設計 近年の家庭用の情報化された機器の中には、 著しく高機能化していることと同時に発熱量も増加し、 空冷ファンによる内部の冷却が必要な機器がありますが、 家庭内で利用される製品だけに、ファンの騒音を低く押えることや、 根本的に発熱量を押えることが設計の重要な課題の1つとなっています。 一時期話題となった日立のパソコン、 プリウスの水冷式などユニークな製品が登場したのも 静音の重要度の現れといえますね。
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2 | 音と音響の四方山 ■音響効果と創作? |
このコーナーは、
音や音響についてのコラムをお届けします。
今回は、 11/21のテキスト版メールマガジンの編集後記でも 少し触れました映像に関連した話題にしてみます。
映画背景の広告 テキスト版をご覧になっていない方のために少しだけ...DVDの 「スパイダーマン」 がかなりの高画質なのですけれども、 関連して「スパイダーマン」 の劇中、背景のマジソンスクエアガーデンのビル広告を 合成で実際の広告とは異なる広告が表示されたことと、 訴訟問題になったというお話をご紹介しました いままでもハリウッド映画などでは、 タバコなどで、 主人公にタバコを吸わせるなどの広告手法がとられたり、 エクソシストで有名になったサブミリナル映像による広告など 広告技法との関連は深いようですが、 デジタル合成で背景映像に写るビル広告を置き換えるという 大技はなかなか見られませんでした。 背景映像を創作したという利用付けで訴訟になったことでも 話題になりました。 結果は、創作内のことなので、かまわないという判決でした (映画のセットや、警察などの団体、 ありとあらゆるものが創作ですから、 現実の通りでなければならないという訴状は無理があるか という感じもします。 スパイダーマンも実在の人物ではありませんし)。 TV音声さんの仕事 NHKの子供向けのTV番組で音声さんの仕事を紹介 というものが以前に放送されていました。 ドキュメント的な映像の音声なのですが、素材の中には、 電灯をつけるスイッチの音や車の走行音などを別録りして合成する という内容などが紹介されていて 興味を持って見ることができる内容でした。 映像合成とは異なり派手に扱われることはありませんが、 これも、番組の放送では、スイッチの音を映像に合わせて 「パチッ」と合成しますから、 創作による物ですね (問題があるといっているわけではありません。念のため)。 番組効果音集 今は、少なくなったように思いますが、 以前は、TVなどの「番組音効集」 というレコード、テープの製品があり、 「スタートレック」 など人気番組の音響効果音だけが集められた商品が 販売されていました。 「必殺シリーズ」 の音効集という商品の 「必殺仕掛人」藤枝梅安が灸針を刺して殺人を行なうシーンの音効と その解説があり、本来は、 針を刺しても音はしないけれども、 無音では格好にならないので音をつけたという 主旨のコメントが書いてありました。 この「必殺シリーズ」 の音効集の音は、 よくある馬の歩く音や時代劇の刀で切る音など以外に、 本当の意味での創作イメージ音 (かんざしを廻す音や、 三味線の伸びる音など本当の演出用に創作した音) のオンパレードでなかなか面白かったです。 映画の効果音では、 ルーカスフィルムの音響効果を紹介しているTV番組番組が 数年前にありました。 最近は、「スターウォーズ」 などでもILMのCG映像ばかりですが、 特殊効果としてモーション コントロール カメラや ブルーマット合成などが取り上げられており、 その中に音響効果も含まれていました。 映画「スターウォーズ」 の中には、ライトセーバーという、 レーザー光線の剣が登場するのですが、 この音は、「ブーーン」 という音がして振る動作に併せてドップラー効果 がついている音が付けられています。 この音響効果は、 「ブーーン」という音がする物を マイクスタンドの前で 実際に映像に合わせて振り回すという 音付けをしたと紹介されていました (正直なやり方ですが、リアル感があるかもしれません) 。 TV CMの効果音 TV CMに目(耳)を向けると、さらに、 激しい創作が展開されているのはご存知の通りで、 飲料水やビールの栓が 「スポーーーーン」と抜けたり、 何メートルも離れたところまで聞こえるほどノドが 「ゴクゴク」 なっていたり、 いわゆる音の「シズル感」の大演出状態です。 本編から、CMになった途端にボリュームがアップしますしね (^^) 今回は、本当に四方山話になってしまいました。 寛大な心で大目に見てください。 それでは、次回もよろしくお付き合いください (^^) 。
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いよいよ今年も残す所あと1ヶ月あまりとなり、
街頭でもX'masソングが流れる時期となりました。
米国では、
コンピュータ業界は11/29から年末商戦に入るのだそうです。
Tablet PCが発売されるなど、 バリエーションが豊かになっていることも 多分に影響していると思いますが、今年の冬モデルは、 各社1工夫された製品が多いように思います。 また、DVDが完全にターゲットに入ったこともあって、 東芝のダイナブックG6のように 液晶ディスプレイをAV製品並に力が入った高画質にするなど、 面白い製品が多い傾向があります。 タブレットは、 以前に1回、自然消滅のように製品が減少していたカテゴリですが、 今回は、各社ともかなり気合が入っているように見えます。 ジェスチャや、電磁誘導方式、液晶ディスプレイの技術など、 過去の技術蓄積の上での再トライですから、 前回に比較すると基礎技術が成熟し、十分、 魅力を感じるレベルの製品になっているように思えます。 ニュースに取り上げられえるほど、 夏にはコンピュータ関連の販売業績が不振だったのですが、 冬季はどうなるでしょうか? それでは、次回、 2002年最後 とになる12月号もよろしくお願いいたします。 (^^)
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